特定圏交流と越圏交流

前からなんとなく感じていたが、人々の交流の範囲が人によって異なる気がしている。

大きく2つに分類してみた。学校や会社等、共通の接点を持つ輪、コミュニティを特定の「圏」とすると、その特定”圏”内で交流する人々と、この”圏”を越えて交流する人々がいる。もちろん、両方の顔を持つ人もいるが、世の中の大多数は、特定圏交流である。

・特定圏交流…同じ学校(クラス/部活)や会社の接点。深い仲の友人が圏内で数人。
・越圏交流……共通の所属組織は無関係。友人の友人もすぐ打ち解け、人数が特定できない。

例えば結婚式で、参列する関係者が「中学友人」「会社同僚」みたいに明確に分類できている人がいると、特定圏交流の人なのだと実感する。特定圏交流メインの人は、比較的年賀状もマメで、結婚式も開催する確率が高い。その反面ソーシャルメディアにはそこまで積極的ではない。

最も特定圏交流を実感するのは、同窓会だ。同窓会と言っても大規模なものではなく、それこそ数人の同期が定期的にお茶したり飲んだりするくらいのものだ。特に女性は、この頻度が高い。私の高校の元文化祭実行委員の面々(女性)は、よく青いSNSで集まっている写真をUPしているのだが、その頻度が、多いときは毎週くらいの勢いだ。もうこれは、文化祭が実行できそうなレベルである。

特定圏交流の場合、内と外が比較的ハッキリしている。内の人数はそこまで多くはないので、それこそ「集まる」と言っても、例えば土日休みであれば予定を合わせやすいのだ。

さて、越圏交流は少数派だが、実はシンプルだ。所属団体や接点は関係ない人でも「おもしろい」と思ったら、自然と友人知人になる。そして、2〜3人の知人の輪に、初対面(その中の誰かの知人)が入ることもある。「初対面か、何十回も会っているか」は、そこまで大きな誤差ではなく、ひいてはどこまでが親友、友人、知人なのか境界線を引くことが難しい。

関係者を特定しにくく、カウントすると膨大な数になるため、年賀状や一般的な結婚式(披露宴)は向いていない。その代わり、関係の深い人と浅い人を同列に扱い、かなりの人数を受容する青いSNS(Facebook)は重宝される。以前はTwitterもその機能を担っていた。結婚式(披露宴)よりも、それより敷居が低い結婚パーティーのほうが開催しやすい。

しかし、初対面と言うと全く接点がない訳でもない。総じて越圏交流の人々は知人が多く、共通の知人がザクザク発掘される。これは青いSNSだと瞬時に判明する。つまり、ゆるやかに大きな「圏」を形成しているとも言える。怪しい人や危険な人は、紹介されず関係も広がらず、よほどの場合はその情報も広まるため、内と外の境界線がないぶん、それがゆるやかなセーフティネットになっている。

私自身の人間関係は、9割5分が越圏交流で、それぞれ平均すると年に1回ずつ、高校、大学、会社の人々と交流することがあるくらいだ。私は人を誘わないし紹介しないのだが、人見知りは全くなく、初対面の人と話すのは結構楽しいので大歓迎。そして、私の周囲には人を誘うし人を繋ぐ、いわばコネクターの人がたくさんいる。それによって友人知人は増え、いつしか仕事になっていることもある。そう、仕事とプライベートという境界線もない。月1回意識的に会う人もいないが、その頻度も特段問題ではない。

特定圏交流の中で話していると、仕事とプライベートの境界線を感じ、同時に友人知人かそうでないかという境界線をハッキリ感じる。また、特定圏メインの人は、あるときまで他人だが、どこか心を許せる瞬間を通過すると親しい知人となる…外から内に変わる感覚がある。逆に言うと、浅く広くの越圏交流にはそれがない。

特定圏交流において、「友人の紹介で初対面の人に会う」というのは、何かしらの用/目的があるか、恋人探しくらいのものだろう。昨日は、同じ高校で、そこまで会ったことはないがそこそこ接点はあった人(女性)と、たまたま現住所が近所だったので、10年ぶりくらいに会った。個人的には、毎年会って近況を知っている知人よりも、未知のほうが気になる。そこで誰も誘うアテはないものの「誰か誘う?」みたいな流れになったのが印象的だった。

…そうだ。特定圏交流では接点の少ない男女が1:1で会うことは少ないのだ。越圏交流が日常だと、男女で会おうとそれは恋愛のスタートラインでもないし、ただ人間と人間が会っているだけの話だ。最後に気になったので高校の面々との交流を尋ねてみると、2年のクラスで仲が良かった人とは月1で会ってる、とのことだった。

多くの人は特定圏交流のみで、私は極端でほぼ越圏交流寄りである。しかし、特定圏交流と越圏交流の両者を持ち合わせている人もいる。私がいま気になっているのは、彼らがそれを意識せずとも、無意識で感覚や行動が変わるところがあるのではないか、ということ。例えば特定圏だと昔の話をするが、越圏だとそうではない…特定圏だと新たな知人を呼ばないが、越圏だと呼ぶ・・・等。それぞれに楽しみを見出し、それぞれの楽しみ方を体得していると、それぞれの交流方法が身についていくんだろうな・・・とか考えるとなかなか興味が尽きません。

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