空想地図師の人生迷路 2015年秋編

さて、いつも通り、人生迷路のどうしようタイムです。

先日、建築系の学びイベント(横浜ハーバーシティ・スタディーズ)は、大変刺激になりました。

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しかし、建築の人々の前に出るなんて、恐れ多くてこれまで避けてきたのです。なんせ、「現実で建物建てられる人(都市計画できる人)」と「エセ都市想像屋(空想地図師)」って、ホンモノのブランドデザイナーと、ニセモノ職人くらいの差がある、気がするじゃありませんか。

なにしろ、今回私は、学ぶ側ではなくエッセンスを提供する側で、皆さんの前でお話する機会をいただきました。実は半年前にも横国大の院の修了展で、お話を(だけじゃなくてワークショップも)したのですが、そのときも「いいのか、私で?」と内心ビビッていました。そのときも、今回も、なぜか好評で、さすがにそれが偶然と考える訳にもいかなくなってきました。

空想地図や私の活動は「専門知識がなくても、想像力の連鎖で、都市の日常を描けるインスタント発想法」と思っていました。本もそういう位置づけだと思っていました。しかし、専門知識と実務も身につけた人に、この「カンタン調理法」は効くのか、と。そういう疑問があったのです。

私は建築(および関わる人々)から学ぶものがあることに変わりはないのですが、私は彼らに一体何が提供できているのか、考えざるを得なくなりました。気になったので当日参加していた数人の建築家、および参加していた学生とやりとりしつつ、現在解明中です。

上の方とは別の人とのやりとりで、建築の人々は合目的的に組み立て、あるべき結果のために、必要なツールや作業を整える・・・という流れも聞きました。実務であれば、そりゃそうですよね。Aという目的のためのフィールドワーク、調査はするが、その目的にそぐわない調査はしないのだそうな。確かに、建築の人々、他にもやること多すぎですからね。

私はある意味、求められてもせずに全体感をつかもうとし、見るべき対象を見たいときには、その対象ではなく、その対象の周囲を見てしまいます。これは大いなる寄り道で、予算や期日が決まっている建築実務から考えれば、合目的的ではありません。しかし、こうした観察眼が、何か役に立つエッセンスを秘めているようです(未解明)。

私は、「空間を見る」プロセスが独特だということに、そこまで気づいていません。私にとっては日常だからです。そして、私以外にも、同業とも言える空想地図を作る人や、空間観察に長けた人は、さらにその特質に気づいていません。私はそれを少しばかり人から教えてもらい、出版や講演にこぎつけていますが、まだまだ道半ばだということに気づかされました。(とりあえず再来週のゲンロンカフェ、どうしよう。何話そう。)

これは現在の活動のバランスで、色が濃いほど活動(仕事)しており、薄いのはその逆です。

2013年からは地理人研究所としての活動が増えました。しかし、見ての通り、実は空想地図は置いてけぼりです。まず生活資金が優先で、そうすると受注制作のデザインだった訳ですが、最近は地図や都市に関する解きほぐし、コミュニケーション、デザイン…そのあたりも少々関わっております。

できることが増えて、多少進んでる感もあるんですが、ひっかかる点も2点ほどあります。
1点は、ただ受けるままに仕事をしていると、空想地図および私の無駄っぽい活動の真価を考えることなく、空想地図の制作ともども置いてけぼりになる・・・元はと言えば、空想地図は「ついでの暇つぶし」で、それ以上の意義を感じていないため置いてけぼりなのですが、いい加減それを考えた方が(進めた方が)良いのか、悩ましいところです。

もう1点、以前はTV、最近まで続いているものだと本や雑誌で紹介いただくことも多いんですが、そのほぼ全ては空想地図に関するものです。前述の通り、空想地図そのものにはそこまで変化がないのです。つまり、インタビュアーによって切り口が変わる限りで、取材される私にそこまで変化がないのです。取材されるたびにそのことがひっかかっています。

こんなことを考えながら、事案A、事案B、事案C・・・どれに取り掛かろうか迷って、手がつかず、私は迷路をさまよっています。色々なことがスッキリしないので、活動報告も、遠方へのフィールドワークの結果も、アウトプットする気が起きず、モヤッとしています。

手をつける作業の選択肢が多くて(色々溜めているのもあるけども)、そのために充分なやる気が自給できない・・・いっそ「何もしない」という選択肢もあるのかも知れない。無価値だと思っていたものの価値ばかりを考えすぎて、「何もしない」ことを恐れているのかも知れない。作業だけでなく思考もまた、複数の選択肢の中でさまよい、今日も結論は出ません。

それではみなさま、ごきげんよう・・・

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