2018年 12月 の投稿一覧

2018年を振り返りつつ2019年へ (2) 地理人の成長限界

この年末、今年の自分を考えると「停滞の1年」「成長限界」というフレーズが頭の中で踊っています。停滞の1年は昨日の記事で書いた通りですが、今日は成長限界について触れてみたいと思います。SNSでは反応が少ないので、完全な自分のための振り返りだったのですが、見てくれる人は見てくれるんですね。会ったときに感想を言ってくれる人もいました。ネットが普及するこの時代ですが、やはりリアルなコミュニケーションの機会も大事だなぁと思った大晦日でした。

私はかねてより、超・受動的なのですが、これは大きな弱みと自覚しています。治せるものなら治したい。しかしこれはもう、付き合っていくべき持病のようなものです。しかし、あまり外からはそうは見られません。なにしろ、誰からも頼まれないのに勝手に実在しない都市の地図を作る…これって能動性じゃん、というお話です。

なるほど…たしかに。あるとき気づいたことですが、私は「思いつく」→「試作する」の部分だけは能動的、積極的なのです。そして、この僅かな積極性を活かし、どうにか2015年以降は試作品が完成するところまで、そしてそれは何なのか、どう活かせるのか…を伝える資料を作るところまで進めました。しかし、そこから先は☓印で、例えば技術的なインプット(Webとか3Dとか色々)も難しければ、積極的な事業化も、もっと単純な誰でもできることで言うと人を巻き込むことも難しいまま今に至っています。

ここまで☓が多いと食っていけない感じですが、ありがたいことに仕事が舞い込んできたことで、これまでの進展を得ています。灰色の☓印の矢印の部分は、自分からの能動的な矢印がなかった代わりに、逆方向の矢印を集めることができたのです。それはひとえに、人見知りのなさによる界隈の開拓と、初対面の人に色々しゃべっちゃう性分が開拓した側面もあるでしょう。

私の今の仕事は一言で説明が難しく、
「地理・地図関係の自営業です」→「?」
「地理・地図に関するライティング、デザイン、講演、アドバイザー等少しずついろんなことをしています」→「ほぉ」
と説明しては、よく分からない…という反応をいただきます。

こうして見てみると、受動的な割にはずいぶん広がったなぁ…とも思います。受動性で進めた範囲のことはやりきったようにも思えます。その先にある活かし方は、受動性だけでは進めない。そうすると、私の最低限の能動性を最大限に活かす方法を検討せねば、と思います。

(分かりにくいですよね、この、やる気があるんだかないんだか分からない文面…。思いつくことや作ること以外、湧き出る生物的なやる気はないんです。金銭や名誉に関する欲とか、達成意欲とか。そのへんはものすごく怠惰なんです。でもそれでは食っていけないし平均寿命まで長い。楽したい。そのためには生計を立てねば。であればなけなしのやる気資源を最大限活かしてパワーに替えなければ…人口が多いのに資源が取れない国が考えることと似たような構図です。そういうてこの原理でどうにか生きてきた側面があります。)

あれ、この手の話、1年前から出てましたね…。

そうです、昨年は「10までは進んだが、次の100が見えない」という言い方をしていました。同じことです。

このように日付がついていると、ああ、この1年半何も進展がないのね…ということに気づいて大変ピリピリします。基本的に怠惰なのでこのくらいピリピリしたほうが普通に生きてる感じがします。このときは「次の100」としてこんな絵を描いていました。

おお。もっともらしいんですが、具体的に何をすんねん、という話と、さすがにこの絵を示したところで誰かからピッタリの話が舞い込んできたりはしない、という話です。分かりにくいですしね。今は、1と3をくっつけて、2を2つに分けようかと思っていますが、もっと具体的なあれこれを考えたほうが良いと思うのでこれから検討します。そしてそれ以上に、誰か、一緒に進める人を募りたい、巻き込めるようになりたい、というのが今思うところです。

さて、これまでどのように人間関係を開拓してきたか…その軌跡と可能性、限界について触れてみたいと思います。

まず私には、母体となるコミュニティがありません。空想地図や地理情報のデザインについては、自力の試行錯誤によるもので、どこかの学校や企業、コミュニティで身につけたものではないのです。このことは、しばらくの間気にしていませんでしたが、切磋琢磨もなければ成長や展開の展望も見えず、ただただ孤独に歩むしかない、ということでもありました。良く言っても孤軍奮闘、ですが別に奮闘せず停滞しても死んでも誰も困らないのでそういう自由もあるという、孤独な自由状態です。大学院の同じ研究室の仲間…とか、今の自分を作った会社…とか、そこに共通の価値基準や仲間意識…いわば基礎がある人は、いいなぁ…と思いながら眺めておりました。私も大学や会社に居たことはあるんですが、それを基に発展した訳でもないので「同窓会コミュニティ」くらいでしかないのです。

しかし今や、知り合いは増えました。あらゆる界隈にあらゆる知り合いがいます。そういう意味では全然孤独ではありません。私の周りの友人知人は私にとって栄養で、周囲の人々のお陰で前向きに生きられている実感を得ております。当初、周囲は遠い世界だと思っていたんですが、全然遠くはなかったのです。

ただ知り合いが増えるだけでなく、あらゆる界隈からお呼びが掛かればヒョイと向かって飛び込んで参ります。イベントや単発のプロジェクトに呼ばれれば参画します。空想地図はあらゆる界隈から声をかけていただけるパスポートとなりました。しかし、こちらから内容とタイミングは選べないのです。これが、1年前で言う「次の100」、今で言う空想地図の「その先の活かし方」に行けない限界でもあります。

個人的に感じている壁がここです。一歩奥に踏み込めない…ということ。この図を見ると、全ての界隈の「一歩奥」に踏み込みたそうに見えますが、一人で同時にそんなことはできません。そして、自分で狙いを定めて進んでいく…そのためには、自分でより組みたい人々…というか人、やりたいことをより明確にせねばな…と思ったところでした。

年末の振り返りはここまでです。年始は、「じゃ、何をするか?」を考えてまいります。

2018年を振り返りつつ2019年へ (1) 停滞の1年

年度の境目(3/314/1)や誕生日(5/1…来年はまさかのビッグイベントと重なる)の前後、そして今来ている年末年始(12/311/1前後)は、自身の振り返りと展望を考える絶好の機会です。というか、それ以上の意義を見いだせておりません。さて、2018年を簡単に振り返ると、ズバリ「停滞の1年」でした。

興味深いのは、おそらく誰もそう思っていないことです。いや、そう思ってくれている人がいるなら、実はかなり嬉しい。来年の目標はそういう目線の合う人をみつけることでもある。講演やワークショップといったイベントや、テレビやラジオ、記事での露出は少なからずあり、それを見ると活躍を感じてしまう人も多いのです。最近だとほぼ日の記事は反応が大きかったですが、まぁ載ったに過ぎません。

空想地図なんてキワモノ、認知が広がったところで仕事が増える訳でもありません。市場のないものは、自分で市場を作ったり、どこかの市場に輸出する仕掛けを作らないといけないのですが(あるいは完全な趣味と割り切ってどこかに勤める)、その方法はまだ手探りの域を出ていません。まぁ色々言ってはみましたが、今年の停滞感は、例年に比べて非常に仕事が少ないことで実感しているものでもあります。

街ペディア  

2016年は地域情報サイト「街ペディア」の仕事をいただき、実際の地理情報(都市の情報)の新しいつかみ方の形ができました。2017年は都城市立美術館で現代美術として展示する機会をいただき、地図や地理情報に限らず、空想の日常の新たな表現形態として「空想落とし物」が生まれました。

地域情報サイトから、実際の地理情報のデザイン、伝達の仕事は広がるかと思いきやかなり静かになってしまいました。今年度初め、じつは超・暇だったのです。そこで重い腰を上げて次の本を書くことにしました。

次の本は空想地図ではなく、新たな都市や地域の「つかみ方」、地図の新しい読み方の本です。地図で見える道路の模様で、風景や人々、時代が見える地形と歴史の本が多い中で、地形と歴史とは異なる、現代の日常を道路模様で読むアプローチだ。ああ、もっとうまく言えんもんか…魅力的に伝えられないものかと思いつつ、私の伝達力の限界が今の所このくらいです…精進します;単著を出したい人が多い中こんなことを言うのははばかられますが、私はいつか共著を出したいのです。単著は息切れして苦戦を強いられます。よほどの自信がないと厳しいのです。それでも書かない限りお前の未来はないという停滞感を日々感じていたからこそ、どうにか書き進めることができました。

晶文社から『「地図感覚」から都市を読み解く――新しい地図の読み方』、201912月に発売予定です。

今年のもうひとつの思いがけぬ展開は、物販でした。別視点のマニアフェスタ(東京仕事百貨・東急ハンズ)で販売の機会を得まして、空想地図や空想落とし物がそれぞれ100個以上売れる、といった展開もありました。今年度は超低収入だったこともあって、東急ハンズの物販の収入は実はかなり助かった面もあるのですが、それ以上に、次のものを作るリズムができてくる、ということが大きいのです。毎回同じものを売ってもしょうがないから新しいものを作ろう、という動機が発生すると、新しいものが生まれるのです。グッズの売上が原価を回収し、得られた利益で次のグッズを作るといったミニ工場が回りつつあります。非常に小規模ではあるがおもしろい経験で、ゆるく続けるのか拡大するのか、別の形に花咲く何かの芽でもあるかも知れません。

さて、続いて地理人の空想地図の成長限界にクローズアップしてみたいと思います。(つづく)