年度の境目(3/31~4/1)や誕生日(5/1…来年はまさかのビッグイベントと重なる)の前後、そして今来ている年末年始(12/31~1/1前後)は、自身の振り返りと展望を考える絶好の機会です。というか、それ以上の意義を見いだせておりません。さて、2018年を簡単に振り返ると、ズバリ「停滞の1年」でした。
興味深いのは、おそらく誰もそう思っていないことです。いや、そう思ってくれている人がいるなら、実はかなり嬉しい。来年の目標はそういう目線の合う人をみつけることでもある。講演やワークショップといったイベントや、テレビやラジオ、記事での露出は少なからずあり、それを見ると活躍を感じてしまう人も多いのです。最近だとほぼ日の記事は反応が大きかったですが、まぁ載ったに過ぎません。
空想地図なんてキワモノ、認知が広がったところで仕事が増える訳でもありません。市場のないものは、自分で市場を作ったり、どこかの市場に輸出する仕掛けを作らないといけないのですが(あるいは完全な趣味と割り切ってどこかに勤める)、その方法はまだ手探りの域を出ていません。まぁ色々言ってはみましたが、今年の停滞感は、例年に比べて非常に仕事が少ないことで実感しているものでもあります。
2016年は地域情報サイト「街ペディア」の仕事をいただき、実際の地理情報(都市の情報)の新しいつかみ方の形ができました。2017年は都城市立美術館で現代美術として展示する機会をいただき、地図や地理情報に限らず、空想の日常の新たな表現形態として「空想落とし物」が生まれました。
地域情報サイトから、実際の地理情報のデザイン、伝達の仕事は広がる…かと思いきやかなり静かになってしまいました。今年度初め、じつは超・暇だったのです。そこで重い腰を上げて次の本を書くことにしました。
次の本は空想地図ではなく、新たな都市や地域の「つかみ方」、地図の新しい読み方の本です。地図で見える道路の模様で、風景や人々、時代が見える…地形と歴史の本が多い中で、地形と歴史とは異なる、現代の日常を道路模様で読むアプローチだ。ああ、もっとうまく言えんもんか…魅力的に伝えられないものか…と思いつつ、私の伝達力の限界が今の所このくらいです…精進します;単著を出したい人が多い中こんなことを言うのははばかられますが、私はいつか共著を出したいのです。単著は息切れして苦戦を強いられます。よほどの自信がないと厳しいのです。それでも書かない限りお前の未来はない…という停滞感を日々感じていたからこそ、どうにか書き進めることができました。
※晶文社から『「地図感覚」から都市を読み解く――新しい地図の読み方』、2019年1~2月に発売予定です。
今年のもうひとつの思いがけぬ展開は、物販でした。別視点のマニアフェスタ(東京仕事百貨・東急ハンズ)で販売の機会を得まして、空想地図や空想落とし物がそれぞれ100個以上売れる、といった展開もありました。今年度は超低収入だったこともあって、東急ハンズの物販の収入は実はかなり助かった面もあるのですが、それ以上に、次のものを作るリズムができてくる、ということが大きいのです。毎回同じものを売ってもしょうがないから新しいものを作ろう、という動機が発生すると、新しいものが生まれるのです。グッズの売上が原価を回収し、得られた利益で次のグッズを作る…といったミニ工場が回りつつあります。非常に小規模ではあるがおもしろい経験で、ゆるく続けるのか拡大するのか、別の形に花咲く何かの芽でもあるかも知れません。
さて、続いて地理人の空想地図の成長限界にクローズアップしてみたいと思います。(つづく)