海外は誰かと一緒に行く/地理人的ホットワードから振り返る2019年(7)

さて、もうひとつ…これは全く仕事でもアウトプットでも実績でも何でもないんですが、最後に海外に行くことについても変化がありました。それではここ2年の海外渡航を振り返ってみましょう。

2018年

3月…武漢→上海(中国)※1人
4月…ソウル→水原→大田→大邱(韓国)※1人
5月…北京→広州→マカオ→深圳(中国)※with父親
5月…ウラジオストク→スラヴャンカ→琿春→図們→延吉(ロシア→中国)※with土井さん(ウラジオまで)
9月…杭州→南京→蘇州→上海(中国)※1人

2019年

3月…重慶→成都→武漢(中国)※with父親
4月…香港→厦門→金門島→台中→嘉義→高雄(香港→中国本土→台湾)※with三文字・内海他
6月…西安→蘭州→ウルムチ→カシュガル(中国ウイグル)※with三文字・齋藤・とっくん

2017年まではほぼ一人で行ってましたが、2018年から「人と行こう」ということにしました。実は「誰かとコラボしたい」がその発端です。誰かと共同経営、共同プロジェクトをやるとなると、出身大学や出身会社が一緒だったとか…共通の体験がある人同士、気心知れていて手を携える、なんてことが多々あります。そういうの、私にないんすよ!!孤独なんです。なーんか入れそうで入れない…プラスワン、くらいの存在でおりました。まぁもともと、何かのプラグインになれればいいな、くらいに思ってたので、そういう意味では叶ってるんですが。

しかしこちらか主体的に、対等にコラボしたいとなると話は別です。「共通の体験をどう作っていくか…」いきなり仕事を一緒にするなんて、能動性もお金もない私から仕事を頼むことは非現実的です。そこで、これから一緒に何かをする人は、まず一緒に海外に行こう、ってことになりました。突然、数日一緒になる濃密体験になるわけです。

父親は海外に連れていくと昭和の固まった感性がほぐれて自由になるので連れて行ってますが、それを除いても今年は全て海外は人と一緒に行ってます。コラボしたい三文字と2回行ってます。果たしてそれがうまくいったかというと…三文字曰く

もう地理人とは一緒に中国行きません

バタンッ……扉を閉じられてしまった…し、失敗じゃねぇか…

しかし本の話はやる気になってくれたし、中国じゃなければ行けそう。というわけで、ウイグルに行ったチーム・イルケシュタム(越えられなかったウイグルの国境の地名から取りました)は、中国以外のどこかに行くと思われます。

私の興味は、(1)人口カバー率と、(2)国家や民族、自然環境の重なりです。人口カバー率…なんて90年代の携帯電話会社みたいですが、なるべく人口の多い都市圏をくまなく把握したいと思っています。それで中国に集中的に行ったのです。ひとつの省で東南アジアのひとつの国くらいあるので、東南アジア各国を回るくらいなら、中国全省回らなきゃ、みたいな感じなのです。もちろん全部は回りませんが。だから次はインドだと思っています。

続いて(2)国家や民族、自然環境の重なりですが、ここにスイッチが入ったのは2018年、ロシアはウラジオストクから中国吉林省、朝鮮族自治州の延吉まで陸路で移動したときのことです。

こちらはロシアから中国へ、国境を越える前後の写真です。ほぼ同じ地域の写真なのに、景観も違います。人口密度も違いば(10倍くらい違います)、農地にして耕作する中国からはアジアっぽさを、農地は作らず牧畜をするロシアからは北欧っぽさをも感じます。

都市市街地はどうでしょうか。じつは沿海地方の中心都市、ウラジオストクと、延辺朝鮮族自治州の中心都市、延吉の都市規模(人口)は同じくらいで、比較するにのにちょうど良いのです。中でも、道路幅や建物の高さが近い2つの写真を見比べてみると…建物の様相から看板、色、人々の様子まで異なります。左の写真は完全なロシア、右の写真は完全な中国。

ここで興味わ湧いてきます。その地域の風景や雰囲気を形作るのは、自然環境……以上に、その地域を治める国や民族ではないか、と。日本にいると、日本列島、日本人、日本国…と、すべてが重なっているため、上記の事情を考える機会がありません。そうか、その重なり……中央アジア内陸に、中国と、旧ソ連という2つの大国が治めるとどういう違いがあるのかを見てみよう…と思って行ったのがウイグルです。

これも一つの中国の風景とは。本当はここから旧ソ連のキルギスに越えようと思ったんですが、最終的に我々は正常な旅行者だと認められたものの、あまりにも遅くなったためゲートが閉まってしまい陸路で越えられず…でした。このような国家と民族、文化の重なりについては、空想地図作者としての立場と同じく、誰にも肩入れしないが、誰も無視はしない…そんな目線で見ていきたいと思います。

この風景はここ、ウイグルでしか見られない風景だと思って思わず写真に収めましたが、屋根は日中韓のような東アジア的な風景ですが、貼られている張り紙がアラビア文字(ウイグル語)。東アジアとムスリム世界の重なりが見えるのはここくらいでしょう。今後もそんな重なりや広がりから世界を見ていければと思っています。そして、誰かと行くその濃い道中から、新たなコラボや今後の長い道中が生まれれば、とも思っております。

さて、ようやく2019年最後の振り返り投稿でしたが、まさか7投もすると思ってませんでした。言いたいことは言ったはず。漏れてたら教えて下さい。では2020年もよろしくお願い致します。

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