人の流れ、都市のつながりが見える地図

人の流れ、都市のつながりが見える地図

人の移動が多いところは公共交通(鉄道やバス)が通り、少ないところは通らない・・・この現象、体内の血管と似ている気がしました。心臓というターミナルから、血液を多く使う脳へは太い血管が、そこまで使わない耳には細い血管しかありません。なにしろ幹線と支線のような構造が見て取れます。

体内の血管は、往路が動脈、復路が静脈ですが、公共交通では往路と復路はほぼ同じルートになるため、鉄道を青、バスを桃色でソレ風にしたら、動脈・静脈風の地図ができるはず・・・作りながらそんな発想が湧き、2007年に試作、2011年に更新したものが「動脈・静脈図」です。(今や減便で減っている区間もあると思いますが)

動脈・静脈図(九州/2011年)

パッと見るなり、下関〜北九州(小倉・黒崎)〜福岡(天神・博多)〜久留米〜熊本、の脈の太さがわかります。人口が多く、人の流れも多い、いわば幹線と言えるでしょう。その他の九州の主要都市は、個々に独立して点在しています。孤立しているとも言えますが、ストロー現象(近隣のより大都市の中心性が増すか、新幹線、高速道路の開通で所要時間が短くなることで、その都市の中心性が大都市に吸い取られる現象)が起こりにくく、独立した中心性を保っているとも言えます。

※ちなみに圏域・都心ランク画像_小_05.png圏域・都心ランク画像_小_08.pngの数字は、研究・開発中の圏域都心基準によるもので、中心性が高い順に番号をふっています。

地方の公共交通は、鉄道だけじゃない。

首都圏や京阪神といった大都市圏にいると、車やバスを使うことは少なく、鉄道+歩きで大体完結します。それほどまでに鉄道網が広がっていますが、地方ではそうでもありません。よく「車が必須」という声を耳にします。たしかに9割以上の地域がそうですが、地方でも狭い範囲ですが、都市部市街地ではそうでもありません。鉄道だけでなく、路面電車、バス、フェリー・・・これらを組み合わせると、比較的自由に移動できます。

しかし、組み合わせた全体像を一覧できる路線図はありません。路面電車やバスがそれぞれ別の路線図である…前に、バスの路線図は各社別(鹿児島は5社あります)で、作っている会社と作っていない会社とあります。

まずそれを1つにまとめる必要がありましたが、系統数の多いこと多いこと…。同じルートを通るものを束ね、会社ごとに同系色でまとめました。とはいえ、市役所〜本港地区の間のバスルートが複雑で断念しました。9割くらいできて…力尽きて、はや数年。(2007年作)

鹿児島市公共交通路線図(2007)

ドライバーにとって道路地図は、道路が太いかどうか(車線が多く走りやすいか、細くて走りにくいか)が重要です。公共交通利用者には、それよりも「来るかどうか」が重要です。そのため、動脈・静脈図同様、本数の多いところを太く、少ないところを細くしました。現在地から目的地まで、本数が多いのはJRなのか、路面電車なのか、バスなのか・・・まず交通機関の選定で役に立つ・・・のではないでしょうか。

(・・・と、提案気味ですが、断念し数年経っているので、実際にはあまり使えません。)

最新の情報ではないかも知れませんが、比較的新しく、かつ、断念していない路線図として、いばらき路線バス案内所(個人サイト)の鹿児島市内バス(β版)がオススメです。他鹿児島県内の市町村も充実しています。

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