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ライブ型デザイン―名刺の作り方―

名刺制作は、初対面のコミュニケーションをどうデザインするか。

名刺の作り方

ライブ型デザインが、実際にどのような順番で進められるのか、ここで簡単に紹介していきます。この内容を見て、ご自身で名刺を作る方がいたら、ぜひ参考にしてください。

「このデザインだと、相手はどんな反応を返すだろう?」 ということを、作るときに想像してみましょう。 ライブ型デザインでは、このことを一緒に考えていきます。

あなたの中の資源を引き出し、より良いコミュニケーションを デザインするのが、名刺デザインです。名刺作りに正解はありません。 あなたが初対面の時に良いコミュニケーションができるような名刺が、 デザインの正解と言えるでしょう。

名刺デザインは、ビジュアルの追求、自己表現でも構いません。それもひとつの方法ですが、重要なのは、初対面のコミュニケーションで 大きく作用するツールでもあることが重要です。

1. 機会と対象

まず、名刺を渡す対象を考えます。 個人、法人を含めて不特定多数に渡り、相手を選ばない場合は、誰にでも 失礼なく基本情報が伝わるシンプルな名刺が良いでしょう。 一方で、響く相手が限られる場合、渡す範囲が友人、知人伝いの場合は、 価値観を自由に表現できます。

 

表裏両面作る場合は、表面はフォーマルに必要事項を入れ、裏面は伝えたいことを自由に表現、という風に分けることも可能で、最も多いのはこのパターンです。

2. 伝えること

名刺に載せることが可能な情報は、実はたくさんあります。 下記の中から、必要なものを絞って、まとめていきましょう。

お名前(会社名)や連絡先、Webサイトもあれば入れましょう。


あなたの職業をできるだけ簡潔に伝えましょう。


仕事や活動の概要やポリシーを、1〜2行でまとめます。


必要に応じてイメージや印象、 写真を載せてもOKです。


具体的な業務内容、サービス、商品など、数点なら載せられます。

個人・プライベート名刺―例1

個人・プライベート名刺―例2

個人の活動・事業・フリーランス・法人名刺―例3

個人の活動・事業・フリーランス・法人名刺―例4

3. 掲載内容

それでは、伝える内容A〜Eの情報、掲載内容を詰めていきます。 基本情報は単に必要な情報を抽出する限りですが、その他は効果的な言葉選びの試行錯誤になります。

全ての個人情報を掲載する必要はありません。どの情報を載せるか考えます。 連絡してほしい連絡手段、見てほしいWebページは積極的に掲載しましょう。 氏名、メールアドレスと電話番号は最低限必要です。その他、必要に応じて他の情報を追加していきましょう。

氏名
漢字氏名 名刺 見本 ふりがな めいし みほん ローマ字 Meishi Mihon
事業情報
会社名・ブランド名・屋号 株式会社名刺見本 ロゴ
連絡先
メールアドレス mail@xxxxx.com 郵便番号・住所 〒xxx-xxxx  名刺県見本市見本X-X-X
携帯電話番号 080-XXXX-XXXX 電話番号 0XX-XXX-XXXX FAX番号 0XX-XXX-XXXX
SNS
Facebook アドレス http://www.xxxxx.com/ 検索ワード 名刺 見本  
Twitter @xxxxx LINE xxxxx Skype xxxxx
Web
Webページ アドレス http://www.xxxxx.com/ 検索ワード 名刺 見本  
Facebookページ 短縮アドレス http://fb.me/xxxxx/ 検索ワード 名刺 見本  
Blog アドレス http://blog.xxxxx.com/ 検索ワード 名刺 見本  
載せる順番その1、安定感の定形。
社名 氏名 郵便番号・住所 電話番号 メールアドレス その他(SNS・Web)こちらが基本スタイルです。掲載しない情報は飛ばしつつ、この順番になっているのが一般的です。 氏名から先は、「使われているのが古い順」と言ったところでしょうか。
載せる順番その2、望ましい連絡手段を上に。
電話や郵送ではなく、メールアドレス、あるいは各種ソーシャルメディアでの連絡が欲しい場合、 それらを上に載せる、あるいは大きめ(太め)に載せる、着色する、といった選別も可能です。

を抽出する限りですが、その他は効果的な言葉選びの試行錯誤になります。

B-1. 説明しやすい肩書き(会社役職、取得資格、その他)

肩書き
代表取締役 人事・採用担当 一級建築士 米国CCE Inc.認定キャリアカウンセラー

氏名の上に添えられる肩書きは、一言であなたの職業が伝わる代名詞です。 法人取引上、立場を表明する必要があれば、例えば「代表取締役」と記載し、 資格によって立場を得ている場合は、例えば「◯◯認定インストラクター」と記載するでしょう。 しかし、かえって不要な先入観を与えたり、相手からの印象を狭める場合、載せる必要はありません。

B-2. ひとことで説明できないものを、いかに伝えるか。

しかし、既存の肩書きで立場を表明しにくいときは、自作の肩書きも検討してみましょう。 あなた自身を正確に要約する必要はありません。それはあまりにも難しすぎます。 相手があなたを把握する際の、数段の階段の1段目、「投げかけ」でしかありません。 全員に一発で伝えるのが難しいので、コミュニケーションパスを描いてみましょう。 面積が少なく、細い文字でも、人はここに注目します。そういう意味では、重要な1段目です。

4.フォント、色、スペース

内容もさることながら、文字の字体によっても印象は変わってきます。
伝えたい内容、方向性にあったフォント(書体)を選びましょう。

5.印刷、紙質

紙の光沢や質感も重要な決め手です。
質感と、伝えたい印象を照らしあわせながら、紙を決めていきましょう。

なお、オンラインで入稿な印刷業者に発注すると、
100枚で1000〜2000円と安価での印刷が可能です。1週間後に宅配で届くのが一般的です。

いかがでしたでしょうか。
ライブ型デザインでは、お客様の活動内容やポリシーをヒアリングしながら、こうしたことを踏まえて2〜3時間の打ち合わせで名刺をデザインしてまいります。

このプロセスを参考にしながらご自身で作る方も、参考になるところがあればどうぞ参考にして下さい。

 

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人の流れ、都市のつながりが見える地図

動脈・静脈図(九州/2011年)

人の流れ、都市のつながりが見える地図

人の移動が多いところは公共交通(鉄道やバス)が通り、少ないところは通らない・・・この現象、体内の血管と似ている気がしました。心臓というターミナルから、血液を多く使う脳へは太い血管が、そこまで使わない耳には細い血管しかありません。なにしろ幹線と支線のような構造が見て取れます。

体内の血管は、往路が動脈、復路が静脈ですが、公共交通では往路と復路はほぼ同じルートになるため、鉄道を青、バスを桃色でソレ風にしたら、動脈・静脈風の地図ができるはず・・・作りながらそんな発想が湧き、2007年に試作、2011年に更新したものが「動脈・静脈図」です。(今や減便で減っている区間もあると思いますが)

動脈・静脈図(九州/2011年)

パッと見るなり、下関〜北九州(小倉・黒崎)〜福岡(天神・博多)〜久留米〜熊本、の脈の太さがわかります。人口が多く、人の流れも多い、いわば幹線と言えるでしょう。その他の九州の主要都市は、個々に独立して点在しています。孤立しているとも言えますが、ストロー現象(近隣のより大都市の中心性が増すか、新幹線、高速道路の開通で所要時間が短くなることで、その都市の中心性が大都市に吸い取られる現象)が起こりにくく、独立した中心性を保っているとも言えます。

※ちなみに圏域・都心ランク画像_小_05.png圏域・都心ランク画像_小_08.pngの数字は、研究・開発中の圏域都心基準によるもので、中心性が高い順に番号をふっています。

地方の公共交通は、鉄道だけじゃない。

首都圏や京阪神といった大都市圏にいると、車やバスを使うことは少なく、鉄道+歩きで大体完結します。それほどまでに鉄道網が広がっていますが、地方ではそうでもありません。よく「車が必須」という声を耳にします。たしかに9割以上の地域がそうですが、地方でも狭い範囲ですが、都市部市街地ではそうでもありません。鉄道だけでなく、路面電車、バス、フェリー・・・これらを組み合わせると、比較的自由に移動できます。

しかし、組み合わせた全体像を一覧できる路線図はありません。路面電車やバスがそれぞれ別の路線図である…前に、バスの路線図は各社別(鹿児島は5社あります)で、作っている会社と作っていない会社とあります。

まずそれを1つにまとめる必要がありましたが、系統数の多いこと多いこと…。同じルートを通るものを束ね、会社ごとに同系色でまとめました。とはいえ、市役所〜本港地区の間のバスルートが複雑で断念しました。9割くらいできて…力尽きて、はや数年。(2007年作)

鹿児島市公共交通路線図(2007)

ドライバーにとって道路地図は、道路が太いかどうか(車線が多く走りやすいか、細くて走りにくいか)が重要です。公共交通利用者には、それよりも「来るかどうか」が重要です。そのため、動脈・静脈図同様、本数の多いところを太く、少ないところを細くしました。現在地から目的地まで、本数が多いのはJRなのか、路面電車なのか、バスなのか・・・まず交通機関の選定で役に立つ・・・のではないでしょうか。

(・・・と、提案気味ですが、断念し数年経っているので、実際にはあまり使えません。)

最新の情報ではないかも知れませんが、比較的新しく、かつ、断念していない路線図として、いばらき路線バス案内所(個人サイト)の鹿児島市内バス(β版)がオススメです。他鹿児島県内の市町村も充実しています。

100万人の地図 ―100万人単位に割って見る―

100万人の地図-東京首都圏100km

※2006年に制作した「100万人の地図」について、2011年に記事にしたものを、2015年にリメイクしたものです。大まかには人口の変動はないかと思いますが、微細な人口の変動を反映していないことをご了承ください。

その都市の「都会」度は、都市人口の多さ?

「都会」度…と喩えてみましたが、都市の集客力や中心性、街の賑わいは、都市人口の多さで語られるのが一般的です。たしかに、おおよそ都市の人口に比例しますが、完全にそうとも限りません。岡山県倉敷市(47万人)と香川県高松市(41万人)は、人口では倉敷市が多いものの、市街地は高松市のほうが賑わっています。これは倉敷市が合併を繰り返して人口が増えていることと、さらに大きな岡山市の衛星都市として発展しているためです。

このような事情を乗り越えるのは、核都市と周辺市町村をまとめた「都市圏」単位で人口を見るという方法があります。しかし、仙台都市圏の人口(約130〜160万人)と、世界最大の都市圏である東京首都圏の人口(約3500〜3800万人)を比べてたところで、「首都圏は仙台より約30倍人口が多い」という結論が出ても、仙台市街地より約30倍賑やかな東京都心が1つダイナミックに存在している訳ではなく、実態は掴めません。

(※都市圏の定義と人口は、Demographia都市雇用圏の定義を参考にしています)

世界最大の都市圏を目の前に…

さて、「首都圏の人々の生活の感覚、行動パターンを考えよう」としても、3500万人いれば3500万通りあるのです。しかし3500万という大きな数字に挑んでも全貌は掴めません。データとしては咀嚼できない巨体です。一応補足すると、東京を中心とした首都圏は、世界最大の人口を擁する都市圏です。

話は変わりますが、口に入らない大きさの食べ物を食べるときは、口に入る大きさに切り分けてから食べるのが一般的です。3500万人という大きなカタマリを、100万人のカタマリに切り分けることどうでしょうか。「100万都市」(政令指定都市)と言えば、札幌、仙台、広島、福岡…なんとなく”大都市”のイメージがあります。切り分けて35個のカタマリになるのであれば、なんとか数えられそうです。

ここで「100万都市」のイメージがわくとすれば、それと比較すれば良いのですが、誰しもイメージがわくとは限りません。広島市(人口約120万人、都市圏約140万人)、仙台市(人口約100万人、都市圏約130〜160万人)といった都市は、多くの人が住み、地域の中心となり、交通網の結節点となり、百貨店や各種専門店が揃っています。

100万人のカタマリで見る

<凡例>1つの色で、約100万人。

そこで、ただ100万人に塗り分けた地図「100万人の地図」を作ってみました。

グループワークの「5~6人のグループを作りましょう」というのと似た感覚です。任意の市町村をくっつけて100万人にしています。

一般的には、このような地理的情報を扱うのであれば地理情報システム(GIS)を使うのですが、国勢調査の市町村の人口のExcel表を見ながら、都市間のつながりや人口密度の近似したところを手作業でまとめてみました。

1マスが10km四方、1マスの中は「半径5km圏」と考えて良いでしょう。100万人のカタマリが小さければ、人口密度が高く、大きければ閑散としているということです。

特に100万人が1マスの中におさまれば、半径5~10kmだけで100万人集まるので、大きな街ができやすいでしょう。

「100万人の地図」全国編

都市・都市圏の様子を掴む前に、まずざっと全国の様子を見てみましょう。太い罫線が100km間隔、細い罫線が10km間隔で引いてあります。

100万人の地図 日本全国

 こうして見ると、人口密度にはバラつきがあるのが分かります。同じ100万人のカタマリでも、一番大きいのは北海道の東半分だけで、1カタマリで、東西南北300kmに広がっています。これでは簡単に一所に集まれそうもありません。同じ北海道でも、札幌の紫色のカタマリは、小さい罫線の10kmのマス2つ分で100万人いるようです。その周囲にも100万人が控えています(黄色いエリア)。

北海道以外でも、東北では仙台、中四国では広島に、小さなカタマリがあります。半径20kmくらいの範囲に100万人が集まると、そのくらいの都会が出来上がる、ということです。また、首都圏や京阪神では、このカタマリの粒が見えないほどです。それでは、首都圏や京阪神を見てみましょう。

「100万人の地図」東京首都圏編

この地図は、東京から半径100km以内の地域を拡大したものです。

100万人の地図-東京首都圏100km

冒頭で、首都圏は3500〜3800万人と述べましたが、確かにこの地図の中に、100万人のカタマリは30個以上はありそうです。小さな100万人のカタマリ(人口密度の高いエリア)が広範囲に広がっています。

首都圏では50km以上の通勤・通学は珍しいことではありません。神奈川県平塚市、埼玉県鴻巣市、茨城県土浦市、千葉県市原市といったところから東京都心に通う人は多く、これらの都市からは東京方面への通勤電車が10〜20分間隔で走っています。

とはいえ、東京都心のカタマリと、その外郭のカタマリでは様子が違います。詳しく見ていきましょう。

100万人の地図-東京首都圏-東京都心

東京都心

上の図で、真ん中の100万人を見てみましょう。これがほぼ山手線の内側と重なります。この中に「東京」と言われて想像するものの6~7割が入ってきます。(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、豊島区、合計107万人)→街で言うと、日本橋、銀座、秋葉原、六本木、新宿、池袋が入ってきます。これで100万人を超えてしまったので漏れてしまいましたが、渋谷も同様の都心の1つです。

この100万人のカタマリは、全国の他の100万人のカタマリとは大きく異なり、いくつもの賑やかな街があります。なぜでしょうか。答えはその周囲にあります。

100万人の地図-東京首都圏-10km外郭

東京都心 10km外郭

「東京」は山手線の外にも広がっています。関東大震災以前は牧歌的な郊外でしたが、それ以降住宅地化が進み、都心並かそれ以上の人口密度となっています。これだけ100万人のカタマリが多いことに驚かされますが、もう1つ驚くのが小さな街が多いことです。例えば、練馬区と板橋区を足すと120万人を超えますが、「100万都市」でイメージされるような、拠点となるような街はありません。せいぜい大きいなヨーカドーがある程度です。隣の中野区、杉並区も、個性ある小さな街は多いものの、これだけ人がいる割には小さくまとまっています。

こうした地域からは、都心まで10kmもありません。日常的な買い物を、地元の商店街がひしめく街で済ませ、必要なものがあれば気軽に都心へと向かうのです。つまり、東京都心の賑わいは、その外郭の、多くの人々(ここでは700万人)があてにしていることで成り立っています。

100万人の地図-東京首都圏-10〜20km外郭

東京都心 10〜20km外郭

さらにその外にも、人口密度の高い100万人がひしめいています。
※図の右側、千葉県浦安市、市川市、松戸市、埼玉県三郷市、草加市もこれに該当します。しかし、下で紹介する「30km外郭」と同じグループに括ってしまいましたので、ここでの紹介を割愛します。

東京都23区を外れ、神奈川県、東京都多摩地区(=23区外)、埼玉県が入ってきます。依然として人口密度は高いものの、10km外郭との違いは、時折まとまった街が出現することです。川崎や吉祥寺といった個性ある大きな街が出てきます。東京都心から少々離れているため、都心人々が流出しにくく、人口が多いため自立した街ができてくるためです。

離れているとはいえ10〜20km、電車でも10〜20分の距離なため、川崎のように東京と横浜という大都市の中間で以前から人口が多かったか、吉祥寺のように東京都心にない魅力があるか、何かしらの理由があって街が大きくなっています。

100万人の地図-東京首都圏-20〜30km外郭

東京都心 20〜30km外郭

首都圏の驚くべきところは、さらにその外にも多くの人が住んでいることです。
ご覧の通り、カタマリが少し大きめなので、上で挙げた地域よりも人口密度は低いですが、それでも全国的に見れば人口密度はかなり高いほうです。

ここまで都心から離れると、東京23区の人から見ると「きっと田舎だ」と思う人が多いようです。そう思う人に限って、この地域をよく知らないことも多いのです。確かに沿線には住宅の合間に畑が広がることもありますが、なぜか大きな街がたくさんあります。横浜は別格ですが、町田、立川、大宮、柏、船橋、千葉といった街は、東京23区の「1回り外郭」の街よりよほど賑やかで、多くのものが揃う、第二の都心と化しています。

こうした地域からは、都心までの距離が30km前後離れており、電車で都心に行くにも30分以上かかります。少々遠い東京都心に行く前の交通結節点で、既に100万人が集まり、そこが大きな街になると、自立した第二の都心が出来上がっていきました。こうした街が出来上がったのは国内では首都圏のみで、高度経済成長で人口が増加した1960年以降の傾向です。

ざっと数えただけでも、1200万人…東京都23区よりも多数の都市生活者がいます。

東京都心 30km外郭のさらに外側

また、この外にも注目してみると、ここが大きな街となる理由も見えてきます。3回り外郭よりさらに外は、人口密度が大幅に低くなります。

横浜は、「東京の郊外」とは言えないほどの中心性を持っています。その外側(三浦半島、湘南、厚木等)は引き続き賑わいを見せていますが、それ以外の地域では、さすがに半径20kmでやっと100万人を集められるくらいの人口密度のため、人は集まりません。したがって大きな街は生まれません。

たとえば、千葉県では千葉市以南の房総半島全体で100万人になります。木更津そごう、茂原そごうが開店してまもなく閉店して話題になりましたが、南北60kmで100万人では、とても3回り外郭の地域と同様に人が集まるとは思えません。100万人ごとに区切ってみると、そういったことも見えてきます。

この、30km外郭の外側の100万人の人々は、1回り外郭の人々が都心を目指すのと同様に、まず手近な大きな街として、30km外郭の街(郊外都心)を目指します。埼玉県北部の人々にとって大宮が身近であるように、30km外郭の街はその後背の数十kmが影響範囲になっています。

100万人の地図-東京首都圏-横浜中心

横浜都心・郊外

横浜周辺は、勤務先や学校が東京でない限り、東京とほとんど関わりを持たない人が特に多いエリアです。買い物から遊びまで、東京に劣るものはほとんどなく、横浜を通りすぎてわざわざ東京に行く必要はありません。

そのため、横浜都心(おおよそ黄色のエリア)の周囲を中心に、横浜の影響範囲は広く、その範囲は、三浦半島・湘南にまで及びます。特にこうしたエリアでも、東京まで行く際に横浜を通る東海道線、横須賀線、京急線、相鉄線沿線では横浜の影響力が強く、横浜を通らない小田急線、田園都市線沿線では、その影響は弱い傾向はあります。特に横浜の影響力が弱い川崎市北部を捨象しても、500万人以上が横浜の影響範囲にあります。

「100万人の地図」京阪神編

同様に、京阪神も見てみましょう。
この地図は、上記首都圏のものと同縮尺で、大阪から半径100km以内の地域の地図です。

100万人の地図-京阪神

見てみると、半径50km以遠の地域の人口が少ないことが分かります。これは東京の拠点性の高さ以上に、関東平野と異なり平地が少ない影響が大きいでしょう。奈良県では北部の平野に人口が集中し、南部は三重県南部と合わせて初めて100万人に達するほど人口が少ない地域です。この地域では十津川郷や熊野古道が有名ですが、この2つから連想されるように、急峻な山々が続く地域です。

京阪神の都市部の100万人のカタマリも、数え方によりますが、おおよそ15~18個くらいのカタマリがあります。1500~1800万人の都市圏だということが推測できますが、Demographiaの定義でも都市雇用圏の定義(大阪、京都、神戸都市圏の合算値)でも、1700万人となります。首都圏(3500~3800万人)と比較すると、その約半数の人口を擁する大都市圏とも言えます。

100万人の地図-京阪神-大阪都心

大阪都心

大阪の中心部では、大阪環状線内とそれより海側で100万人のカタマリになります。これが京阪神の中心にもなっている大阪の都心にあたります。梅田、心斎橋、難波といった街や、通天閣をはじめとした大阪の観光地もここに含まれます。ここも東京と同様、いくつもの賑やかな街があり、首都圏と同様、周囲に多くの人口を擁する都心として成り立っています。

100万人の地図-京阪神-10km外郭

大阪都心 10km外郭

首都圏で見たのと同じく、都心の周囲に、人口密度が高い100万人のカタマリが取り囲んでいます。日常使いの小さな街が点在し、大きな街が必要なときは頻繁に都心に行く人々が住んでいるのも同様です。首都圏では東京都23区の山手線より外側が該当していましたが、大阪では大阪市そのものの面積が狭いため、その周囲の堺市や東大阪市、豊中市等がそれにあたります。

また、兵庫県ながら大阪市に近接している西宮市、尼崎市も同様です。西宮市は、古くから郊外として発達し、地域のターミナル機能も持ちながら極めて都市的な郊外型ショッピングセンター(阪急西宮ガーデンズ)がある点から、東京の二子玉川(世田谷区, 玉川高島屋SC)と共通するところがあります。

100万人の地図-京阪神-20〜30km外郭

大阪都心 20〜30km外郭

首都圏同様、20~30km外郭には、都心より少々人口密度が少ないながらも人口が集中するエリアが広がります。首都圏よりも人口密度が低いこと(山地が多く人口が集中しない)、京阪神の地図の冒頭で書いた通り半径50km以遠の地域の後背人口が少ないことから郊外の都心が発達しにくく、京都府や兵庫県では、郊外が発達する前から都心機能を持っていた京都、神戸が拠点性を持っています。そのため首都圏のような郊外の都心は形成されませんが、10km外郭と同程度のコンパクトな街が点在しています。

100万人の地図-京阪神-京都・神戸中心

京都都心・神戸都心を中心とした郊外

首都圏では東京を中心とした都市の拡がりとともに、横浜を中心とした都市の拡がりを見てきました。京都、神戸は、横浜以上に、「中心都市(大阪)の衛生都市」とは言えません。両都市とも、都市圏の中心機能を持つ大阪に近い距離にありながら、通勤通学や買い物等で大阪への依存性は低く、京阪神の中でも独立した都市圏を持つ面もあります。

京都の都心は黄緑色のエリアの南部、鉄道が集中しているあたりです。都心部にはそれなりに人口が集積し、北部の人口は少ないものの、都心部の区に編入されているため、100万人で括るとその面積が広くなってしまいますが、決して京都の都心が閑散としている訳ではありません。京都府、滋賀県、奈良県も京都の影響範囲ですが、都市雇用圏の定義では267万人と定義されていますが、100万人のカタマリが3つ(300万人)と近いのが分かります。

神戸の都心は濃い緑色のエリアです。山地を含むものの人口が集積しているのが分かります。黄緑色のエリアは、うち神戸市北区が神戸の郊外ですが、その他はどちらかというと大阪の郊外の要素が強く、青色・黄緑色のエリアは大阪・神戸両者の郊外となっています。都市雇用圏の定義では、こうしたエリアを含まずに243万人となっています。

総括「100万人のカタマリ」という見方

いかがでしょうか。
ここでは、都市機能や都市圏、人口規模を論じているのではなく、100万人単位のカタマリで人の集まりを見る、1つの簡単な目安やきっかけをお見せしました。モノサシを揃えると、特徴がよりクリアに見えてきます。

100万人の地図-ソウル首都圏

地図と統計さえあれば、この見方は海外でも応用できます。
日本と近い状況にある韓国・ソウル版を作ってみました。Demographiaによると、ソウル首都圏の都市圏人口は2300万人で、ちょうど東京首都圏と京阪神の間の規模になります。

100万人の地図を見ても、確かに20数個の100万人のカタマリがあるのが分かります。特に韓国で特徴的なのは、北朝鮮との軍事境界線があることですが、それがソウルの近郊(100km圏内)に迫っているということです。実質的に人々の行き来が遮断されていることに加え、近年の正確な統計がないため、この図では人口をプロットしていません。

境界線近くは人口が少ないものの、ソウル近郊になると一気に人口密度は増え、高層アパートが連なる都市の景観が広がります。都心部は東京や大阪のように中心となる100万人のカタマリを定めることは難しく、図中だと少なくとも2~3のカタマリに都心機能が分散しています。

ここで、ソウル首都圏の詳しい解説は割愛しますが、首都圏か京阪神に馴染みがある人であれば、その感覚を100万人の地図に照らし合わせて落とし込み、その目で馴染みのない地域(例えばここではソウル)の地図を見ることで、知らない土地の感覚を掴む手がかりになるかと思います。

縮尺を押さえた上で、地図と統計さえあれば簡単に作れる100万人の地図。人口の情報に触れる機会があれば、このような形で「自分の感覚で掴む」ことが可能です。ぜひ、世界を掴む手がかりに、ご活用ください。