「中村電鉄 (電車)時刻表」(鳴海行人 作)/ 中村市をめぐる万物収集報告展

先日、東京・台東区谷中「HAGISO」で行われていた展示「中村市をめぐる万物収集報告展」で、昨日鳥瞰図について書きましたが、本日は時刻表の作者、鳴海氏が自身のnoteで詳しく綴っています(https://note.mu/mistpouffer/n/nd718bffc1865)。

なにしろ首都圏(といっても実在の東京を中心とした首都圏ではなく、架空の西京を中心とした首都圏)の通勤電車ゆえ、電車の本数が多く、平日だけなのにかなりの枚数とインパクトを放っていました。その上、字が小さくて見えない。笑

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いやー何のことやら!

見えない、画面で見たい・・・というそこのあなた、実は見られます。鳴海氏のWebで見ることができます。

→ Fiction Diagram(中村電鉄)
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「鉄道」に対する悩ましさ

さて。

鉄道については、私自身なかなか悩ましい立場でもあるのです。
じつはこの架空の地図を描くという趣味を始める人の大部分が、鉄道に対する興味や知識を持っており、非常に親和性が高くもあるのです。…ということは、言わずもがな、そうだろう、と思う人も多いかも知れません。

いや、しかし逆に、「地図を作るならまず鉄道だよね!(それ以外は二の次)」とばかりに、鉄道に偏重するのもまた問題でした。私もうっかり鉄道への興味や知識を持ちあわせていましたが、それは私が都市生活者で、幼少期から両親と出かけるときは車ではなく電車だったためで、多くの人の生活の基礎に「鉄道」があるとは限りません。

また、都市は鉄道からできるか、と言われると、大抵の場合はそうでもなく(これが大都市郊外だと本当に鉄道から街ができるんですが)あらゆる要素が加わってきます。

そのため、鉄道以外の要素…歴史や地形、道路、公共交通であればバス等、幅広い「都市を構成する要素」に目を向けるため、鉄道偏重を避けるべく、私自身「鉄」分を減らした経緯もあります。

「鉄道」の重要性と、他の重要な要素

とはいえ、なんで鉄道なんでしょう。

他の架空地図作者が地図に興味を持った経緯を探ると、少し見えてきます。鉄道の他、「小さい頃から父親にドライブに連れて行ってもらった」と語る人は、幼少期にあらゆる道路やインターチェンジ等が多分に含まれた地図を描いています。鉄道も道路も、どこかの地域と他の地域を結ぶもので、空間の広がりやネットワークを考える際は重要なファクターとなります。

他には1人、「送電線の広がりから興味を持った」と言う人もいました。たしかに送電線も、地域と地域を繋げる重要なファクターです。

その他あるとすれば、水道管、とかでしょうか。水道管はなかなか見えないので、なかなか触れる機会もなく、ネットワークを考えるのも難しいかも知れません。

さて、鉄道に戻りますが、鉄道だけに偏重すると良くない、と思いつつ、原点に帰ると鉄道は「都市生活者の日常を構成し、他都市とのつながりを考えるのには重要な要素」ということになります。

鳴海氏の試行錯誤

鳴海氏は今回鉄道ダイヤの人、として参加していますが、実はこの人も鉄道偏重には違和感があるようで、もともと道路好きを発端に、バスにも興味を持ち、鉄道にも興味がある、という人です。

それ以上に彼のnoteの他の記事を見ても分かる通り、鉄道とかバスとか道路とか・・・言う前に、人生を試行錯誤中でもあります。

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すんません当ブログで何回も登場します、この図。

彼はA層の中にいましたが、B層と違ってかなり人が多いのです。
彼もなかなか律儀で、これまでの人生であるべき姿や目標、期待、そのための努力…といったことを割と素直に進めてきました。そんな感じで進学、就職、といった進路を進めつつ、趣味ではA層として、部活やサークルで活動していたようですが、どれもちょっと無理をしていたようです。

仕事ならまだしも、余暇活動の趣味でも無理が出ていた、というのは私からすると悲しい話ですが、そうするしかない、とも思っていたようで。それでとある私のイベントで、たくさんのC層の人たちがいて、普通に楽しく話ができたのが衝撃だったようでした。

そうなのですよ。C層は何も特徴もつかみもないようですが、楽しいのです。そして、良いコミュニティを選べば、A、B層に偏見もなく、受け入れてくれるものでもあります。よほどA、Bの趣味が近い人よりも人間的に通じる、信用できる人がいる、なんてことも珍しくありません。

A、Bような濃い味はなくても、シンプルでさわやかな栄養分、まさにミネラルウォーターのようなものかも知れません。

敢えて全然違うことをしても良いと思うのですが、強みを活かすなら、せっかくならA、B層向けだけでなく、C層にも展開してみよう、ということで彼にも参戦してもらい、会期中に色々思うことがあったようで、さきほどのnoteで色々まとめられています。

「鉄道マニアの極めた趣味」というよりは、「この街どんくらい電車走ってるんだろ」とか「終電何時だろ」とか、そんな日常感覚の延長で見てもらえれば、というのが狙いなので、時刻表慣れした人が読み解けるような今回の列車時刻表だけでなく、駅の時刻表や、都市の日常が感じられる一端なんかを表現できると良いね、と、鳴海氏と私で話しております。

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