都市・地域の見方

神奈川から山梨に抜ける裏ルート・道志越え / バス時刻表とと飲食店&宿の営業時間を合体させてみました。

先日、山中湖へ一人作業合宿をしておりました。
そうだ、ここから道志村経由で帰ることもできるな…と思いつつ、そのときはやめましたが、ここは公共交通で超えるには超・難所なのです。
山中湖は山梨県の奥地という印象がありつつも、地図で見ると実はすぐそこに神奈川県(山北町)が迫っているのは毎度ビックリしています。さて、この神奈川から山梨にかけてのバス路線網ってどうなってるんでしょう。

…こんな感じです。山北町から抜けることはできませんが、道志村経由(道志線、としました)はなんとか繋がっています。

ただ、東京方面から来る際には、橋本駅→三ヶ木(みかげ)→月夜野→道志村内、と鉄道駅から2回の乗り換えを経る必要があります。橋本駅から三ヶ木までは12分の1本と全く本数の心配をする必要はありませんが、月夜野までは2往復、ここまでが神奈川県で神奈中バス、そこから先が山梨県で富士急バス…なのですが、接続が悪く、繋がるのは土曜日の早朝だけ、あとの時間はうまいこと繋がりません。さらに、12月から3月にかけての日曜日は全くバスの通らないという始末です。

…月夜野バス停。神奈中バスと富士急バスが並び、偶然にも神奈中バスが止まっています。道志村は未踏なので今回の写真は全てストリートビューです。汗

ただ、平日に限られますが、数時間待てばどうにかなる時間帯もあったり、そもそも泊まれば良い、という説もあります。そう、通過する経由地も目的地になり得るのです。ただ、何もない山の中で3時間待つのは何かの耐久戦…ただ、そこに飲食店や早くチェックインでいる宿でもあれば、そんな過ごし方もアリ、になってきます。しかもこの道志村、かなりの数の宿があり、飲食店も少々ながらあるのです。そして道志村は道志川沿いの1本道に全ての建物が集中しています。この1本道をバスが通るので、意外とどこでもバスアクセスは可能なのです(ただ、本数が…)。

そこで、バスの接続だけでなく、飲食店の営業時間や宿泊施設のチェックイン・チェックアウトも分かると良いなと思いました。そんなこんなで作ってみました。

道志線全線・2社のバス時刻表【飲食店営業時間・宿泊施設チェックイン・チェックアウト時間つき】

(私は見たことがないんですが、こんなの、世の中にあるんでしょうか。)キャンプ場は多すぎるので省きました。

doshi_bus_timetable_A doshi_bus_timetable_B

なんとも厳しい現実が待っています。藤野駅からのルートは、やまなみ温泉で乗り換えを強いられ、しかもやまなみ温泉〜東野間は土日は運行されず、都留市駅方面も土日は繋がりません。なかなか土日は絶望的です。実際バス交通が機能しているのは、藤野駅〜やまなみ温泉と、平野〜旭日丘という末端区間のみです(平野〜旭日丘間は周遊バスも走るのでもう少し多い)。

さて、バスの繋がらない区間は歩いても良いのでは、とチョット頭をよぎります。この中で徒歩でも負担のない区間は「東野〜月夜野」間に限られます。こちらは2km少々で標高差もほとんどありません。月夜野〜道志小学校も歩いたらどうかな〜と考えますが(考える人はそこそこいるようですが)こちらは7kmほど。地図を見ても相模湖〜上野原までと同距離を歩くと考えるとゾッとします。長又〜平野間はそれに加えて標高差もあります。ここもバスで越えたほうが無難でしょう。

さて、では実際に行程を考えてみましょう。

月夜野を超える

まず、神奈川方面から来る場合、月夜野を超えるのが朝か夕方か、という選択肢があります。
平日だと朝の便は繋がらず、土曜日だと繋がりはするものの、三ヶ木6時55分発、橋本駅を6時10分台に出る必要があり、橋本在住とかでないと間に合いません。

ここで潔く泊まる、という選択肢が出てきますが、宿はあるのでしょうか→あるのです。食堂まであります。東野に1軒(食堂兼民宿)、月夜野に2軒(1軒は食堂兼民宿、1軒は食堂)。これは心強いですね。東野か月夜野で泊まり、翌朝6時40分の便で早々に都留市駅に抜けるか、7時50分の便に乗ると道志小学校から長又までの間で1時間待つ必要がありますが、山中湖経由富士山駅行に乗り継ぐことができます。(この1時間、道の駅どうし開店前なのでキビシーですね…)

平日、三ヶ木12時10分発→月夜野12時50分着だと、さすがに3時間あるので、食堂で昼食を済ませるだけでなく釣りなんかもやるとちょうど良いでしょうか。そうすると15時50分発の長又行きに乗ることになりますが、これは当日中に山中湖にも都留市にも抜けられないので、道志村内で泊まるコースになります。太川さんと蛭子さんのローカル路線バス乗り継ぎの旅では、月夜野で釣りをして、長又で泊まり、次の日富士山駅に移動してましたね。

逆方向だと、意外にも午後抜けが可能です。4〜11月まで運行している、山中湖旭日丘13時45分発の道志小学校行に乗り、唐沢〜道志小学校の間のどこか(道志の湯が良いんですかね)で降りると10分後に月夜野行きが来ます。これで月夜野(15時05分着)まで行くと、2km歩いて東野16時05分発三ヶ木行に間に合います。16時42分に三ヶ木に着いたら17時半までには橋本駅。首都圏ならどこへでも帰れるでしょう。

東野

鶴屋旅館

住所:神奈川県相模原市緑区青根1393
電話:042-787-2153
Web:(公式
[チェックイン]・[チェックアウト] 時間不明
[食事] 11:00〜20:00(食べログ

月夜野

両国橋キャンプ場 湯川屋

住所:山梨県南都留郡道志村月夜野49
電話:042-787-2250
Web:(公式)(道志観光
[チェックイン] 13:00 [チェックアウト] 10:00
[食事] 9:00〜17:00(食べログ

両国屋

住所:山梨県南都留郡道志村月夜野45
電話:042-787-2023
[食事] 8:00〜20:00(道志観光)(食べログ

(ところで余談ですが、月夜野は山梨県道志村でありながら電話番号が042-7なんですね。)

道志村内であれば、道志小学校〜長又の間であればどこでも大丈夫でしょう。「道志川温泉紅椿の湯」なんか、なかなか良さそうなんですが(キレイな旅館ですが、日帰り温泉もあるし食事もある)、道志小学校〜月夜野間はバスが少なく、動きにくくなるのが難点です。

しかしこうして調べてみると、なかなか魅力的な宿がみつかるものですね〜。
ちょいとピックアップしてみます。

富士見荘
建物と料理(野菜・山菜)に注目です。

住所:山梨県南都留郡道志村5350
電話:0554-52-2110
Web:(公式
[チェックイン]・[チェックアウト] 時間不明
最寄りバス停:大栗

民宿光荘
料理(というか体験系・グリーンツーリズム等)に注目です。

住所:山梨県南都留郡道志村7606
電話:0554-52-2057
Web:(道志観光
[チェックイン] 14:00 [チェックアウト] 10:00
最寄りバス停:道志中学校

表からは分かりませんが築400年の母屋があるとか。時刻表にはスミマセン最寄りを「村営谷相住宅前」と書きましたがどう見ても「道志中学校」でした。(時刻表では省略してしまいましたが「道志の湯」の前後バス停です。)ここでお詫びして訂正します。

北の勢堂
なんと。これまた建物の風情がいいですね。

住所:山梨県南都留郡道志村東神地9147
電話:0554-52-2102
Web:(公式)(楽天
[チェックイン] 15:00 [チェックアウト] 10:00
最寄りバス停:石原

山荘水之元
WiFiつき・ハンモック・複数のアジア風バンガローもありつつ和室もある。

住所:山梨県南都留郡道志村10220
電話:0554-52-2577
Web:(公式
[チェックイン]・[チェックアウト] 時間不明
最寄りバス停:下善の木

「送迎あり」を有効に活かす

最後に、1泊するなら「送迎あり」の宿の送迎を使うのも手です。
土曜日はバスで移動し、日曜日は送迎もアリかも知れません。
都留市駅…だけかと思いきや、松葉荘は富士山駅・河口湖駅、大月駅まで送迎するという大盤振る舞い。これなら月夜野バス停までの送迎も交渉の余地がありそうです。ただ「大人数の場合」に限ってかも知れませんので、お宿にはダメもとで聞いてみましょう。

民宿 丸杉荘

住所:山梨県南都留郡道志村10687
電話:0554-52-2454
Web:(公式
[チェックイン]・[チェックアウト] 時間不明
[送迎] 山中湖・都留まで
最寄りバス停:善の木

民宿 山光荘

住所:山梨県南都留郡道志村12050
電話:0554-52-2400
Web:(公式
[チェックイン]・[チェックアウト] 時間不明
[送迎] どこまでかは不明
最寄りバス停:白井平

松葉荘

住所:山梨県南都留郡道志村長又12444
電話:0554-52-2247
Web:(公式)(道志観光
[チェックイン]・[チェックアウト] 時間不明
[送迎] 富士山・河口湖・都留市・大月
最寄りバス停:下村

さて、いかがでしょうか。
私自身、次こそは山中湖に行くときに道志経由にしよう、と色々調べていたら、このような形になりました。次は実際に行ってみたいと思います。

フェリーとバスで簡単に回れる石垣島&西表島&その他島々

先日、初めて八重山諸島(石垣島・西表島など)に行ってきました。
旅行記を書いたほうが良いのでは?」と知人から指南を受け、書こう!と思い腰を上げました。が、読む方々にも最初に全体感をつかんでもらった方がスッと入りやすいだろう・・・

というわけで、作りました。全体図。

ishigaki_iriomote_all

結果、意外と役に立ちそうな、八重山諸島交通地図ができました。
(ああ、私が行く前に作って持って行きたかった・・・)
ちなみに、線の太さは運行本数です。太ければ太いほど不安なく移動できます。石垣市街地〜新石垣空港のバスは15分間隔、石垣島〜竹富島は約30分間隔です。あとは…細いので時刻表を見ましょう。

(※12/25追記。舟浮→船浮、石垣市街地〜新石垣空港間に新規参入バス会社「カリー観光」追記)

まず、特徴的なのは、それぞれの島と島の距離が近いことです。
石垣島を起点に、この図中の島々は、フェリーで行っても片道10分〜1時間以内、運賃も600〜2,000円程度で、意外と小回りのきく回遊性です。これほど近い距離に島々があるのは、このあたりと瀬戸内海くらいじゃないでしょうか。

島々の全体像

石垣島と西表島の面積は似たようなものですが、面積は西表島は289.61k㎡(全国12位・沖縄県2位)、石垣島は222.18k㎡(全国21位・沖縄県3位)です。石垣島の中心地(フェリー発着点、地図中左下)から、平野(地図中右上)まではバスで1時間30分、西表島は1周する道路はなく…半周するバスでも1時間45分かかります。

その一方で人口は20倍近くの差があります(石垣島 約5万人、西表島 約0.25万人)。石垣島は平野が多く、西表島はほとんどが山林で、イリオモテヤマネコ等貴重な生物が生息しています。この組み合わせ、種子島(約33,000人/444.99k㎡)&屋久島(約13,000人/504.29k㎡)とも似ていますが、それ以上のコントラストがあります。

また、この2島以外の離島、人口数百人の島々こそ、開発されない「南の島」として、観光客に人気があったりもします。特に竹富島は家並みの伝統的な景観が保全され、観光地としての人気も高くなっています。

竹富島
(写真は竹富島)

また、地図の下方、新城島を構成する2つの島(上地島、下地島)は干潮時に歩いて渡ることができ、2島の面積は親しいものの、やはり人口は偏っています。(ちなみに宮古島の近くにある下地島とは違う)

それも、上地島は13人、下地島は1人・・・(人口が1人とか、キニナル・・・!)この人がいなくなると無人島になるわけです。ところで1人で何をされてるんでしょう。気になります。ちなみにフェリーは定期便はなく要予約、チャーター便です。

石垣島の移動

この地図の中で空港があるのは石垣島のみです。(地図の外、100km少々離れた与那国島には空港があります)
石垣空港は2014年に市街地至近から今の場所に移転し、空港から市街地・港まではバスで35〜40分(540円)で、15分間隔で運転されているので便利です。空港と市街地を往復する場合は、往復1,000円の割引きっぷ、当日中に石垣島内の他の地区(川平、伊原間、平野方面)に行く場合は島内のフリーパス(1日1,000円、5日2,000円)が便利で、いずれも車内で購入可能です。

東運輸
http://www.cosmos.ne.jp/~bus/

東(あずま)運輸バス その1 東(あずま)運輸バス その2
東(あずま)運輸バス その3
…Webを見る限り古そうなバスが走ってる感じですが、今やほぼ新車です。昨年に石垣空港が新しくなって、バスの運行距離が伸びて運賃収入が上がったためなのかどうかは分かりません(邪推)。

(12/25追記)なお、カリー観光という新規参入バス会社もあり、石垣市街地〜新石垣空港間は完全に競合しています。時刻は1時間に1〜2本です。

カリー観光
http://karrykanko.com/bus.html

島々の移動

石垣島内のバスの起点となるバスターミナルと、各フェリーが発着する「離島ターミナル」は通りの斜向かいです。「離島ターミナル」とは、石垣島と周辺の離島を結ぶフェリーターミナルですが、このあたりを移動すると石垣島が断然都会に見えてくるので、石垣島がそもそも「離島」であることを忘れてしまいます。1時間あたり約3便が発着し、フェリーの乗り場も1〜6番乗り場まであります。まさに電車のホームと似た感じですが、6番線まである駅となると…小さい駅ではないですよね。

その代わり、石垣島を除く各島同士の移動は困難を極めます。行けない組み合わせが数多く、行けても1日1便程度だったりします。離島旅行は石垣島を起点に考えましょう。(ほら、もう石垣島を「離島」だと思わなくなってる)

離島ターミナル3、4番乗り場
(離島ターミナル3、4番乗り場)

P1360234A
ちなみに、それぞれのフェリーに乗ると、あらゆる郵便物やゆうパック、商店間移送の段ボール等が積まれています。そう、小さなフェリーながら貨物便も兼ねているのです。

離島ターミナル・各フェリー会社

このあたりのフェリー会社は3社あり、3社ともばっちり競合しています(ほぼ似たような航路を走っています)。このうち、古参の安栄観光と八重山観光フェリーが共同運航で、安栄観光のチケットを買えば八重山観光フェリーに乗れますし、逆もまた然りです。乗る際は気をつけるのは、西表島内のバスくらいです(後述)。その他、2007年に新規参入した石垣島ドリーム観光は単独で、古参2社の6割くらいの便数を出しています。

安栄観光
http://aneikankou.co.jp/
安栄観光フェリー

八重山観光フェリー
http://www.yaeyama.co.jp/
八重山観光フェリー

石垣島ドリーム観光
http://www.ishigaki-dream.co.jp/
石垣島ドリーム観光

ところで、3社の時刻表をまとめて見られないものか・・・
ついでに、フェリーだけでなく新石垣空港〜離島ターミナルのバス便の時刻も見たいですよね。
良いサイトを発見しました。

八重山、船の時刻表(沖縄・離島の旅)
http://okirito.com/yaeyama/

いやはや便利・・・(私が石垣島に行く前に見つけておけば良かった・・・)

西表島の移動

西表島の移動は、幹線道路がほぼ1本しかなく、宿や観光スポットもその道沿いにあるためシンプルです。(森の中をアドベンチャーしない限り)

ですが、2つほど厄介な点があります。
1つは港が2つあること。大原港は運賃も安く欠航しにくいものの、島の北部、西部方面へのアクセスが遠いのが難点です。上原港は各地へのアクセスが良いものの、若干運賃が高い…のは良いとして、欠航しやすく当日にならないと出るかどうかが分からないので、予定が立てにくいのです。

ちなみに上原欠航時、無料振替バスが出ますが、もう1つ厄介なのは、このバスを含めたバスの全体像です。上原欠航時だけでなく通常時もフェリー会社の無料バスが出ます。各フェリー会社がそれぞれ別個にバスを出している上、欠航時だけバスのダイヤが変わり、さらには路線バスもあるので、少々ややこしくなっています。

*フェリー会社が運行する無料バス
西表島の大原・上原各港から、西方面(上原〜白浜間)を結ぶ無料バスが運行されています。なんと親切。ですが、古参2社のみで石垣島ドリーム観光はありません。安栄観光が7便、八重山観光フェリーフェリーが6便(うち路線バス4便は無料券対応)で、このバスは共同運行ではなく、各社が別々に運行している上に、便によってはどちらかの会社のバスしか出ない、なんてこともあります。なので、西表島内で接続するバス便を調べてから、その会社のチケットを買う必要があります。

ちなみに、港から各地まで乗る際には問題ありませんが、各地から港に向かう際、安栄観光の無料バスはバス停がないので注意しましょう。路線バスのバス停とは微妙に異なるところで泊まります。


大衆食堂「しこや」の前(干立地区は、大衆食堂「しこや」の前。ここにバスが止まるなんて誰も思うまい。)

そのあたりの情報は地元民、あるいは宿泊施設が把握している模様です。

*路線バス
さきほどの無料バスが使えるのは、同じ会社のフェリーにすぐに乗り継ぐ場合のみ。そして区間も上原港〜白浜間のみです。(上原港〜大原港間は、上原就航時も欠航時も走っていますが、その間は通過します。)

そこで、島内を自由に移動できるのが、路線バスです。都市部の中古バスが、前の会社の塗装のまま走ることでバス愛好者間で話題になりますが、2015年12月現在は珍しくオリジナル塗装のバスでした(おのみちバスに似てますが、元京成バスらしい)。なお、もう一台は川崎市営バスの塗装のまま走っています。以前は都営バスや神奈中バスも走っていたようです。
西表島交通

西表島交通
http://www.iriomote.com/web/access/bus/

1日4往復走っていますが、その外観以上に、実際に乗るとおもしろさが倍増します。運賃箱は、自動化された機械仕掛けの箱ではなく、単なる箱で、まるでアジアのバス。乗るときに行先を告げると、運転手に運賃を告げられ、箱にその運賃を入れます。両替やお釣りは…おそらく運転手が対応するのでしょう(私はぴったり持っていたので分からず)。車内で聞こえるのは地元ラジオで、停留所名を告げるアナウンスはありません。その代わり、乗るときに運転手が乗客がどこで降りるか記憶しているので、そこで止まります。
P1360433A

「干立まで」とバス停名を告げたのですが、「宿はどこですか」と聞かれ、とっさに思い出せず「みなみぬ…なんでしたっけ」と言うと「あ、南ぬ風(ぱいぬかじ)ね」と言われ、そうだそうだと思ったのでした。そして干立バス停を少し過ぎたところで運転手に「ぱいぬかじのお客様〜」と告げられ、最寄りの交差点で降ろされたのです。なんというか、ほぼタクシー

では、実際に石垣島、西表島、竹富島を回ってみると?という話は、また次回〜。

立川と八王子の比較

八王子VS立川! 多摩の「首都」はどちらか検証する
http://j-town.net/tokyo/column/gotochicolumn/213721.html

という記事がありました。

1990年代までは八王子が中心だったのが、2000年代から逆転して立川に中心性が移ってきています。

拠点性の地盤沈下が続く八王子と、拠点性の成長が著しい立川の差はなかなか際立っていますが、私はその両市に挟まれた日野市で90〜00年代を過ごしたこともあり、その変化を感じざるを得ませんでした。まず、家族での外出が、90年代までは問答無用で八王子だったのが、00年代からは立川にシフトしていきます。2001年に多摩モノレールの開通で南北の軸が完成し、同時に多摩地区で最も情けなかった立川伊勢丹が、多摩地区で最もシッカリした百貨店へと変貌を遂げる等、謎の進化を遂げました。

さて、八王子と立川を比較しようとすると、市町村人口を見て思考停止になります。
多摩地区の人は馴染みのある、こちらの市町村名と人口(ないか)。多摩地区で育って、うっかり地図や統計に興味があると、絶えずこのようなものを見慣れて育ちます。

東京都多摩地区 2010年時点の市町村人口

八王子市は統計上はダイナミズムを感じさせます。しかし多摩地区民の実生活ではそこまで感じさせず、逆に人口18万人の立川の拠点性に圧倒されることになります。こうして、多摩地区で育ってうっかり地理や統計に興味を持ってしまうと、人口とは何なのか、拠点性とは何なのか、考えてもなかなか結論が出ず、モヤッとした幼少期を送ることになります。やがて多くの人は、思考停止になって「そんなもんだ」とこの現状を受け入れるようになります。確かに、そうすることが大人になることでもあるのです。

(スミマセン、早朝ですが昨夜からぶっ続けで旧市町村の人口を計算し、この図を作っていたのでノリが深夜のノリです。ご了承ください。)

話を戻しますが、八王子を「1つの市」として捉えると、それ以上のことが見えなくなります。

2つの都市を比較する際は、方程式の計算のように単位を揃えて比べないと見えてこないことも多いでしょう。
立川市の集客圏を見る際、さきほどの記事のように周辺の市をくっつけて比べて見る、というのは1つの方法です。

もう1つ、八王子市を分解する、という方法もあります。八王子市の「58万人」が一様であるはずがありません。旧由木村(現・南大沢を中心とした地域)は、特に八王子との繋がりが薄く、合併当時は反対派もかなりいたほどです。日野市との合併と、八王子市との合併で、村は真っ二つに割れ、僅差で八王子合併派が上回って八王子市に編入した、という経緯がありますが、今となっては、多摩市と対等合併したほうが良かったのでは(多摩ニュータウン)、とさえ思います。

多摩地区は平成の大合併の影響をほとんど受けていません。それ以前の大合併は50年以上前で、旧市町村の認識が身についている人は多くありません。日野市で教育を受けると、そこが旧日野町か七生村かを意識して生きるようになりますが、おとなり八王子市の旧市町村情報は全然入って来ません。なので、こうして地図を作るまで、その境界も人口バランスも知らずにおりました。

1953年当時の市町村界のまま、現在の人口になった場合の市町村人口

こちらは、1953年当時の市町村界で、現在の人口になった場合のシミュレーションをした地図です。
都市の人口の数字に惑わされてはなりません。賑わっている都市(武蔵野・立川・八王子・町田)の人口はどこも少ないですが、ある意味、単位を揃えることはできました(武蔵野市はそのままですが)。

こうして見ると、旧由井村(由井市としました)が昭島市と近い存在に見えてきて、旧川口町は瑞穂町と近い存在に見えてきます。旧由木村(由木市としました)の人口は意外と多いんですね。58万人中11万人は八王子市街地とほぼ無関係ということです。実質都市圏人口が見えてきそうです。

いやはや小河内村、ダムの影響もあって人口少ないですね…。氷川村(奥多摩駅と日原)より古里村のほうが多いのも意外でした。浅川町、恩方町、川口町、五日市町は、現日の出町と近しい存在でしょう。青梅市はあれだけ広い面積で約14万人ですが、その7〜8割は東部3分の1の面積にいることも分かります。

鶴川市、成瀬市(旧南多摩郡南村…そのまま南市にはならないだろうと仮定して)も地味に人口が多いですね。この後の集客圏分析をしたかったのですが、これは相模原市の人口を同様に分析する必要がありましたね。武蔵野市も同様です(杉並区・練馬区)。自動的にパッと計算できず、東京都統計局のページからExcelを引っ張ってきて、古地図を参照しながら町名を振り分けて計算する、という、地味な方法をとっているため意外と時間がかかります(今回は断念)。

立川と八王子の集客圏分析

さて、集客圏分析をしてみましょうか。

最も濃い色が中心部、1953年時点の中心都市です。その周囲がその中心都市の郊外にあたる部分、電車で10分以内、バスも頻繁に走っています。さらにその外側、最も色の薄い部分は、集客圏としましたが、日常的に行くには少し遠い範囲です。バスも頻繁に走っていますが、30〜40分以上かかったりします(電車で行ければさほど問題はありません)。

こうして見ると大体近い面積で、近い中心/郊外の構造を比較することができました。
人口は、立川圏が73万人、八王子圏が46万人。立川は今の賑わいに近い、実感の湧く値が出たような気がします。八王子も、まぁそんな気もちょっとはするのですが、立川に多少近い値が出ると思っていたのに・・・

問題は、グレーな話なのでグレーで塗りましたが、日野市(図中の日野市・七生市)、そして旧由木村です。以前なら明らかに八王子圏だったのが、今や日野市は立川に吸い寄せられ、由木は独立した郊外ととるか、あるいは多摩市の郊外ととるのが適切です。このグレーな市が八王子の集客圏になれば、確かに立川を凌駕する拠点性を保っていたかも知れません。

しかし、その周囲を見てみると、立川の集客動脈である青梅線の先に、さらに市町村があり、特に青梅市は10万人以上います。それに対して、八王子市は(ああ、現相模原市もちゃんと図化すればよかった…)、隣接自治体が山間部でほとんど人口はいません。都市の賑わいは、後背人口によって決まりますが、すぐに山間部が迫る八王子は後背人口を増やすのに不利だったとも言えましょう。

しかし町田市の集客圏が気になってきますね…。町田市と相模原市を合わせただけで100万人を超えますが、相模原市はなんといっても八王子市並の巨体。特に相模線沿線や旧津久井郡は町田との繋がりも比較的薄いので、そのへんのコントラストを見極めて行くと良いのかも知れません。また気が向いたら(というか時間に余裕があったら)やってみたいと思います。

最後に・・・個人的な思考実験に、合併パターンA、Bを作ってみました。私がベストだと思う案…という訳でもありません。都市の印象は非常に人口に縛られやすいので、色々考えると、固定観念が取り払われ、こういう枠組みだったら拠点性はどうなっていたか、アイデンティティはどう形成されていただろうか、等のシミュレーションも可能でしょう。

立川と八王子の現状を無視して仮定した合併パターンA

市名はテキトーです。
高尾市と楢原市が意外なインパクトを放っています。楢原市という枠組みができることで、鉄道が走っても良いのでは、という気にもなってきます。実際に鉄道が走らなかったとしても、このまま合併していなかったら、今頃BRTとか検討してそうです。いえ、きっと合併するでしょうけど。

立川と八王子の現状を無視して仮定した合併パターンB

さて、現八王子市並に合併が加速したパターンです。

合併が加速するところは、大体中心都市の中心性が明らかに高い(高かった)ことと、その周囲が自立しておらずベッドタウンになっている、という傾向にあります。八王子は昔から拠点性が高く、八王子市周辺(由木除く)の誰もが八王子を中心だと認識します。

ただ、この中でその対極にあるのが武蔵市です。吸収されてしまった周辺の市は自立しており、そして武蔵野市は特に歴史的に中心都市という訳でもありません。商業的に吉祥寺が中心性を高めているだけです。しかし、人口64万人の武蔵市などができていたら、吉祥寺は中心都市として、広い道路なり業務地区なり、いろいろ整備されて大都市市街地っぽくなっていたかも知れません。そうなるとハモニカ横丁は残らない運命でしょう。ある意味、業務機能も含めた中心都市にならず、「たまたま商業機能が集まっちゃった〜」という吉祥寺の現況は、全国的に見るとレアケースですが、ある意味良かったのかも知れません。

さて、立川市、八王子市、町田市の人口が揃ってきましたが、さきほどと似たようなことが見えてきますね。後背人口の有無です。立川市の西には10万超えの自治体があるのが強そうです。町田市もここに書いてませんが相模原市はかなりの人を抱えています。

以前、「八王子が多摩の中心性を保っていたら」というシミュレーションをしたことがあります。大型商業施設に商店街、路面電車という、中心性の極めて高い地方都市パターンです。そういう絵を描くのは簡単ですが、それを成り立たせるための架空地図として、八王子の後背人口が多いパターン(たとえば、高尾山、陣馬山を奥に追いやって平地を広くとるとか、陣馬山が多摩丘陵並の低い山だとか)を描けば、実際に成立し得る「大都会八王子」ができたのかも知れません。

まぁ、実際は大都会であってもなくても良いのだと思います。

街はどうであれ、自治体の人口の数字に縛らずに頭が柔らかくなれば、とひとまず思います。

関連本

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人の流れ、都市のつながりが見える地図

動脈・静脈図(九州/2011年)

人の流れ、都市のつながりが見える地図

人の移動が多いところは公共交通(鉄道やバス)が通り、少ないところは通らない・・・この現象、体内の血管と似ている気がしました。心臓というターミナルから、血液を多く使う脳へは太い血管が、そこまで使わない耳には細い血管しかありません。なにしろ幹線と支線のような構造が見て取れます。

体内の血管は、往路が動脈、復路が静脈ですが、公共交通では往路と復路はほぼ同じルートになるため、鉄道を青、バスを桃色でソレ風にしたら、動脈・静脈風の地図ができるはず・・・作りながらそんな発想が湧き、2007年に試作、2011年に更新したものが「動脈・静脈図」です。(今や減便で減っている区間もあると思いますが)

動脈・静脈図(九州/2011年)

パッと見るなり、下関〜北九州(小倉・黒崎)〜福岡(天神・博多)〜久留米〜熊本、の脈の太さがわかります。人口が多く、人の流れも多い、いわば幹線と言えるでしょう。その他の九州の主要都市は、個々に独立して点在しています。孤立しているとも言えますが、ストロー現象(近隣のより大都市の中心性が増すか、新幹線、高速道路の開通で所要時間が短くなることで、その都市の中心性が大都市に吸い取られる現象)が起こりにくく、独立した中心性を保っているとも言えます。

※ちなみに圏域・都心ランク画像_小_05.png圏域・都心ランク画像_小_08.pngの数字は、研究・開発中の圏域都心基準によるもので、中心性が高い順に番号をふっています。

地方の公共交通は、鉄道だけじゃない。

首都圏や京阪神といった大都市圏にいると、車やバスを使うことは少なく、鉄道+歩きで大体完結します。それほどまでに鉄道網が広がっていますが、地方ではそうでもありません。よく「車が必須」という声を耳にします。たしかに9割以上の地域がそうですが、地方でも狭い範囲ですが、都市部市街地ではそうでもありません。鉄道だけでなく、路面電車、バス、フェリー・・・これらを組み合わせると、比較的自由に移動できます。

しかし、組み合わせた全体像を一覧できる路線図はありません。路面電車やバスがそれぞれ別の路線図である…前に、バスの路線図は各社別(鹿児島は5社あります)で、作っている会社と作っていない会社とあります。

まずそれを1つにまとめる必要がありましたが、系統数の多いこと多いこと…。同じルートを通るものを束ね、会社ごとに同系色でまとめました。とはいえ、市役所〜本港地区の間のバスルートが複雑で断念しました。9割くらいできて…力尽きて、はや数年。(2007年作)

鹿児島市公共交通路線図(2007)

ドライバーにとって道路地図は、道路が太いかどうか(車線が多く走りやすいか、細くて走りにくいか)が重要です。公共交通利用者には、それよりも「来るかどうか」が重要です。そのため、動脈・静脈図同様、本数の多いところを太く、少ないところを細くしました。現在地から目的地まで、本数が多いのはJRなのか、路面電車なのか、バスなのか・・・まず交通機関の選定で役に立つ・・・のではないでしょうか。

(・・・と、提案気味ですが、断念し数年経っているので、実際にはあまり使えません。)

最新の情報ではないかも知れませんが、比較的新しく、かつ、断念していない路線図として、いばらき路線バス案内所(個人サイト)の鹿児島市内バス(β版)がオススメです。他鹿児島県内の市町村も充実しています。

100万人の地図 ―100万人単位に割って見る―

100万人の地図-東京首都圏100km

※2006年に制作した「100万人の地図」について、2011年に記事にしたものを、2015年にリメイクしたものです。大まかには人口の変動はないかと思いますが、微細な人口の変動を反映していないことをご了承ください。

その都市の「都会」度は、都市人口の多さ?

「都会」度…と喩えてみましたが、都市の集客力や中心性、街の賑わいは、都市人口の多さで語られるのが一般的です。たしかに、おおよそ都市の人口に比例しますが、完全にそうとも限りません。岡山県倉敷市(47万人)と香川県高松市(41万人)は、人口では倉敷市が多いものの、市街地は高松市のほうが賑わっています。これは倉敷市が合併を繰り返して人口が増えていることと、さらに大きな岡山市の衛星都市として発展しているためです。

このような事情を乗り越えるのは、核都市と周辺市町村をまとめた「都市圏」単位で人口を見るという方法があります。しかし、仙台都市圏の人口(約130〜160万人)と、世界最大の都市圏である東京首都圏の人口(約3500〜3800万人)を比べてたところで、「首都圏は仙台より約30倍人口が多い」という結論が出ても、仙台市街地より約30倍賑やかな東京都心が1つダイナミックに存在している訳ではなく、実態は掴めません。

(※都市圏の定義と人口は、Demographia都市雇用圏の定義を参考にしています)

世界最大の都市圏を目の前に…

さて、「首都圏の人々の生活の感覚、行動パターンを考えよう」としても、3500万人いれば3500万通りあるのです。しかし3500万という大きな数字に挑んでも全貌は掴めません。データとしては咀嚼できない巨体です。一応補足すると、東京を中心とした首都圏は、世界最大の人口を擁する都市圏です。

話は変わりますが、口に入らない大きさの食べ物を食べるときは、口に入る大きさに切り分けてから食べるのが一般的です。3500万人という大きなカタマリを、100万人のカタマリに切り分けることどうでしょうか。「100万都市」(政令指定都市)と言えば、札幌、仙台、広島、福岡…なんとなく”大都市”のイメージがあります。切り分けて35個のカタマリになるのであれば、なんとか数えられそうです。

ここで「100万都市」のイメージがわくとすれば、それと比較すれば良いのですが、誰しもイメージがわくとは限りません。広島市(人口約120万人、都市圏約140万人)、仙台市(人口約100万人、都市圏約130〜160万人)といった都市は、多くの人が住み、地域の中心となり、交通網の結節点となり、百貨店や各種専門店が揃っています。

100万人のカタマリで見る

<凡例>1つの色で、約100万人。

そこで、ただ100万人に塗り分けた地図「100万人の地図」を作ってみました。

グループワークの「5~6人のグループを作りましょう」というのと似た感覚です。任意の市町村をくっつけて100万人にしています。

一般的には、このような地理的情報を扱うのであれば地理情報システム(GIS)を使うのですが、国勢調査の市町村の人口のExcel表を見ながら、都市間のつながりや人口密度の近似したところを手作業でまとめてみました。

1マスが10km四方、1マスの中は「半径5km圏」と考えて良いでしょう。100万人のカタマリが小さければ、人口密度が高く、大きければ閑散としているということです。

特に100万人が1マスの中におさまれば、半径5~10kmだけで100万人集まるので、大きな街ができやすいでしょう。

「100万人の地図」全国編

都市・都市圏の様子を掴む前に、まずざっと全国の様子を見てみましょう。太い罫線が100km間隔、細い罫線が10km間隔で引いてあります。

100万人の地図 日本全国

 こうして見ると、人口密度にはバラつきがあるのが分かります。同じ100万人のカタマリでも、一番大きいのは北海道の東半分だけで、1カタマリで、東西南北300kmに広がっています。これでは簡単に一所に集まれそうもありません。同じ北海道でも、札幌の紫色のカタマリは、小さい罫線の10kmのマス2つ分で100万人いるようです。その周囲にも100万人が控えています(黄色いエリア)。

北海道以外でも、東北では仙台、中四国では広島に、小さなカタマリがあります。半径20kmくらいの範囲に100万人が集まると、そのくらいの都会が出来上がる、ということです。また、首都圏や京阪神では、このカタマリの粒が見えないほどです。それでは、首都圏や京阪神を見てみましょう。

「100万人の地図」東京首都圏編

この地図は、東京から半径100km以内の地域を拡大したものです。

100万人の地図-東京首都圏100km

冒頭で、首都圏は3500〜3800万人と述べましたが、確かにこの地図の中に、100万人のカタマリは30個以上はありそうです。小さな100万人のカタマリ(人口密度の高いエリア)が広範囲に広がっています。

首都圏では50km以上の通勤・通学は珍しいことではありません。神奈川県平塚市、埼玉県鴻巣市、茨城県土浦市、千葉県市原市といったところから東京都心に通う人は多く、これらの都市からは東京方面への通勤電車が10〜20分間隔で走っています。

とはいえ、東京都心のカタマリと、その外郭のカタマリでは様子が違います。詳しく見ていきましょう。

100万人の地図-東京首都圏-東京都心

東京都心

上の図で、真ん中の100万人を見てみましょう。これがほぼ山手線の内側と重なります。この中に「東京」と言われて想像するものの6~7割が入ってきます。(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、豊島区、合計107万人)→街で言うと、日本橋、銀座、秋葉原、六本木、新宿、池袋が入ってきます。これで100万人を超えてしまったので漏れてしまいましたが、渋谷も同様の都心の1つです。

この100万人のカタマリは、全国の他の100万人のカタマリとは大きく異なり、いくつもの賑やかな街があります。なぜでしょうか。答えはその周囲にあります。

100万人の地図-東京首都圏-10km外郭

東京都心 10km外郭

「東京」は山手線の外にも広がっています。関東大震災以前は牧歌的な郊外でしたが、それ以降住宅地化が進み、都心並かそれ以上の人口密度となっています。これだけ100万人のカタマリが多いことに驚かされますが、もう1つ驚くのが小さな街が多いことです。例えば、練馬区と板橋区を足すと120万人を超えますが、「100万都市」でイメージされるような、拠点となるような街はありません。せいぜい大きいなヨーカドーがある程度です。隣の中野区、杉並区も、個性ある小さな街は多いものの、これだけ人がいる割には小さくまとまっています。

こうした地域からは、都心まで10kmもありません。日常的な買い物を、地元の商店街がひしめく街で済ませ、必要なものがあれば気軽に都心へと向かうのです。つまり、東京都心の賑わいは、その外郭の、多くの人々(ここでは700万人)があてにしていることで成り立っています。

100万人の地図-東京首都圏-10〜20km外郭

東京都心 10〜20km外郭

さらにその外にも、人口密度の高い100万人がひしめいています。
※図の右側、千葉県浦安市、市川市、松戸市、埼玉県三郷市、草加市もこれに該当します。しかし、下で紹介する「30km外郭」と同じグループに括ってしまいましたので、ここでの紹介を割愛します。

東京都23区を外れ、神奈川県、東京都多摩地区(=23区外)、埼玉県が入ってきます。依然として人口密度は高いものの、10km外郭との違いは、時折まとまった街が出現することです。川崎や吉祥寺といった個性ある大きな街が出てきます。東京都心から少々離れているため、都心人々が流出しにくく、人口が多いため自立した街ができてくるためです。

離れているとはいえ10〜20km、電車でも10〜20分の距離なため、川崎のように東京と横浜という大都市の中間で以前から人口が多かったか、吉祥寺のように東京都心にない魅力があるか、何かしらの理由があって街が大きくなっています。

100万人の地図-東京首都圏-20〜30km外郭

東京都心 20〜30km外郭

首都圏の驚くべきところは、さらにその外にも多くの人が住んでいることです。
ご覧の通り、カタマリが少し大きめなので、上で挙げた地域よりも人口密度は低いですが、それでも全国的に見れば人口密度はかなり高いほうです。

ここまで都心から離れると、東京23区の人から見ると「きっと田舎だ」と思う人が多いようです。そう思う人に限って、この地域をよく知らないことも多いのです。確かに沿線には住宅の合間に畑が広がることもありますが、なぜか大きな街がたくさんあります。横浜は別格ですが、町田、立川、大宮、柏、船橋、千葉といった街は、東京23区の「1回り外郭」の街よりよほど賑やかで、多くのものが揃う、第二の都心と化しています。

こうした地域からは、都心までの距離が30km前後離れており、電車で都心に行くにも30分以上かかります。少々遠い東京都心に行く前の交通結節点で、既に100万人が集まり、そこが大きな街になると、自立した第二の都心が出来上がっていきました。こうした街が出来上がったのは国内では首都圏のみで、高度経済成長で人口が増加した1960年以降の傾向です。

ざっと数えただけでも、1200万人…東京都23区よりも多数の都市生活者がいます。

東京都心 30km外郭のさらに外側

また、この外にも注目してみると、ここが大きな街となる理由も見えてきます。3回り外郭よりさらに外は、人口密度が大幅に低くなります。

横浜は、「東京の郊外」とは言えないほどの中心性を持っています。その外側(三浦半島、湘南、厚木等)は引き続き賑わいを見せていますが、それ以外の地域では、さすがに半径20kmでやっと100万人を集められるくらいの人口密度のため、人は集まりません。したがって大きな街は生まれません。

たとえば、千葉県では千葉市以南の房総半島全体で100万人になります。木更津そごう、茂原そごうが開店してまもなく閉店して話題になりましたが、南北60kmで100万人では、とても3回り外郭の地域と同様に人が集まるとは思えません。100万人ごとに区切ってみると、そういったことも見えてきます。

この、30km外郭の外側の100万人の人々は、1回り外郭の人々が都心を目指すのと同様に、まず手近な大きな街として、30km外郭の街(郊外都心)を目指します。埼玉県北部の人々にとって大宮が身近であるように、30km外郭の街はその後背の数十kmが影響範囲になっています。

100万人の地図-東京首都圏-横浜中心

横浜都心・郊外

横浜周辺は、勤務先や学校が東京でない限り、東京とほとんど関わりを持たない人が特に多いエリアです。買い物から遊びまで、東京に劣るものはほとんどなく、横浜を通りすぎてわざわざ東京に行く必要はありません。

そのため、横浜都心(おおよそ黄色のエリア)の周囲を中心に、横浜の影響範囲は広く、その範囲は、三浦半島・湘南にまで及びます。特にこうしたエリアでも、東京まで行く際に横浜を通る東海道線、横須賀線、京急線、相鉄線沿線では横浜の影響力が強く、横浜を通らない小田急線、田園都市線沿線では、その影響は弱い傾向はあります。特に横浜の影響力が弱い川崎市北部を捨象しても、500万人以上が横浜の影響範囲にあります。

「100万人の地図」京阪神編

同様に、京阪神も見てみましょう。
この地図は、上記首都圏のものと同縮尺で、大阪から半径100km以内の地域の地図です。

100万人の地図-京阪神

見てみると、半径50km以遠の地域の人口が少ないことが分かります。これは東京の拠点性の高さ以上に、関東平野と異なり平地が少ない影響が大きいでしょう。奈良県では北部の平野に人口が集中し、南部は三重県南部と合わせて初めて100万人に達するほど人口が少ない地域です。この地域では十津川郷や熊野古道が有名ですが、この2つから連想されるように、急峻な山々が続く地域です。

京阪神の都市部の100万人のカタマリも、数え方によりますが、おおよそ15~18個くらいのカタマリがあります。1500~1800万人の都市圏だということが推測できますが、Demographiaの定義でも都市雇用圏の定義(大阪、京都、神戸都市圏の合算値)でも、1700万人となります。首都圏(3500~3800万人)と比較すると、その約半数の人口を擁する大都市圏とも言えます。

100万人の地図-京阪神-大阪都心

大阪都心

大阪の中心部では、大阪環状線内とそれより海側で100万人のカタマリになります。これが京阪神の中心にもなっている大阪の都心にあたります。梅田、心斎橋、難波といった街や、通天閣をはじめとした大阪の観光地もここに含まれます。ここも東京と同様、いくつもの賑やかな街があり、首都圏と同様、周囲に多くの人口を擁する都心として成り立っています。

100万人の地図-京阪神-10km外郭

大阪都心 10km外郭

首都圏で見たのと同じく、都心の周囲に、人口密度が高い100万人のカタマリが取り囲んでいます。日常使いの小さな街が点在し、大きな街が必要なときは頻繁に都心に行く人々が住んでいるのも同様です。首都圏では東京都23区の山手線より外側が該当していましたが、大阪では大阪市そのものの面積が狭いため、その周囲の堺市や東大阪市、豊中市等がそれにあたります。

また、兵庫県ながら大阪市に近接している西宮市、尼崎市も同様です。西宮市は、古くから郊外として発達し、地域のターミナル機能も持ちながら極めて都市的な郊外型ショッピングセンター(阪急西宮ガーデンズ)がある点から、東京の二子玉川(世田谷区, 玉川高島屋SC)と共通するところがあります。

100万人の地図-京阪神-20〜30km外郭

大阪都心 20〜30km外郭

首都圏同様、20~30km外郭には、都心より少々人口密度が少ないながらも人口が集中するエリアが広がります。首都圏よりも人口密度が低いこと(山地が多く人口が集中しない)、京阪神の地図の冒頭で書いた通り半径50km以遠の地域の後背人口が少ないことから郊外の都心が発達しにくく、京都府や兵庫県では、郊外が発達する前から都心機能を持っていた京都、神戸が拠点性を持っています。そのため首都圏のような郊外の都心は形成されませんが、10km外郭と同程度のコンパクトな街が点在しています。

100万人の地図-京阪神-京都・神戸中心

京都都心・神戸都心を中心とした郊外

首都圏では東京を中心とした都市の拡がりとともに、横浜を中心とした都市の拡がりを見てきました。京都、神戸は、横浜以上に、「中心都市(大阪)の衛生都市」とは言えません。両都市とも、都市圏の中心機能を持つ大阪に近い距離にありながら、通勤通学や買い物等で大阪への依存性は低く、京阪神の中でも独立した都市圏を持つ面もあります。

京都の都心は黄緑色のエリアの南部、鉄道が集中しているあたりです。都心部にはそれなりに人口が集積し、北部の人口は少ないものの、都心部の区に編入されているため、100万人で括るとその面積が広くなってしまいますが、決して京都の都心が閑散としている訳ではありません。京都府、滋賀県、奈良県も京都の影響範囲ですが、都市雇用圏の定義では267万人と定義されていますが、100万人のカタマリが3つ(300万人)と近いのが分かります。

神戸の都心は濃い緑色のエリアです。山地を含むものの人口が集積しているのが分かります。黄緑色のエリアは、うち神戸市北区が神戸の郊外ですが、その他はどちらかというと大阪の郊外の要素が強く、青色・黄緑色のエリアは大阪・神戸両者の郊外となっています。都市雇用圏の定義では、こうしたエリアを含まずに243万人となっています。

総括「100万人のカタマリ」という見方

いかがでしょうか。
ここでは、都市機能や都市圏、人口規模を論じているのではなく、100万人単位のカタマリで人の集まりを見る、1つの簡単な目安やきっかけをお見せしました。モノサシを揃えると、特徴がよりクリアに見えてきます。

100万人の地図-ソウル首都圏

地図と統計さえあれば、この見方は海外でも応用できます。
日本と近い状況にある韓国・ソウル版を作ってみました。Demographiaによると、ソウル首都圏の都市圏人口は2300万人で、ちょうど東京首都圏と京阪神の間の規模になります。

100万人の地図を見ても、確かに20数個の100万人のカタマリがあるのが分かります。特に韓国で特徴的なのは、北朝鮮との軍事境界線があることですが、それがソウルの近郊(100km圏内)に迫っているということです。実質的に人々の行き来が遮断されていることに加え、近年の正確な統計がないため、この図では人口をプロットしていません。

境界線近くは人口が少ないものの、ソウル近郊になると一気に人口密度は増え、高層アパートが連なる都市の景観が広がります。都心部は東京や大阪のように中心となる100万人のカタマリを定めることは難しく、図中だと少なくとも2~3のカタマリに都心機能が分散しています。

ここで、ソウル首都圏の詳しい解説は割愛しますが、首都圏か京阪神に馴染みがある人であれば、その感覚を100万人の地図に照らし合わせて落とし込み、その目で馴染みのない地域(例えばここではソウル)の地図を見ることで、知らない土地の感覚を掴む手がかりになるかと思います。

縮尺を押さえた上で、地図と統計さえあれば簡単に作れる100万人の地図。人口の情報に触れる機会があれば、このような形で「自分の感覚で掴む」ことが可能です。ぜひ、世界を掴む手がかりに、ご活用ください。